研究課題/領域番号 |
18K11943
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
青柳 秀樹 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 光源基盤部門, 主幹研究員 (20416374)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 量子ビーム / 放射光 / 加速器 / ビーム位置モニタ / 挿入光源 |
研究実績の概要 |
大型放射光施設SPring-8の光位置モニタにおいては、今まで不可能であった大強度放射光ビームのパルス毎の位置計測が求められている。この課題を克服するために、マイクロ・ストリップライン構造の光電面を用いたパルス・モード計測型検出素子の技術を発展させる。具体的には、次の3点について技術やアイデアの導入を検討した。 ① 光電子放出の量子効率を高め、信号量の増大を図ることで分解能の向上が期待できる。従来のブレード型検出素子はビーム軸に平行に配置させており、X線を検出できる有効断面積はブレード型検出素子の膜厚(0.3 mm)に限定されていた。ビーム軸に対してブレード型検出素子を斜めに配置させることで、有効断面積が広くなるだけでなく、単位断面積当たりの量子効率も高くなることが期待できる。このアイデアを取り入れた検出部を設計・製作し、構造上の問題の無いことを確認した。 ② この配置では光電子収集電極は、受光面であるブレード検出素子側面に正対しており印加電圧により光電子の放出を制御しやすくなることが期待できる。光電子収集電極の印加電圧を変化させてブレード型検出素子の信号量を観測することによりこれを確かめた。 ③ ブレード型検出素子の形状は、今まで直線的に成形していた。この形状では受光部の先端部での局所的な温度上昇を避けることが困難であった。これを克服するために、先端部をアーチ型とした検出素子を新しく設計した。また、試作機を製作し、問題の無いことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度にて実証機の設計だけでなく、実際に部品の製作を開始する予定であった。装置全体を設計するためには、検出器素子の形状(特にサイズ)を確定する必要がある。しかし、検出素子の母材となるダイヤモンド・ヒートシンクは大きくするほど高価となるので、仕様を定めるのが困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の検討結果から、アーチ状の検出素子を採用することにより、要求を満たす信号量が得られることに見通しがついた。挿入光源ビームラインで用いる高分解能パルス・モード計測型光ビーム位置モニタとして達成すべき性能を再設定した後に検出器素子の形状を確定し、その他の部品(光電子収集電極、冷却水路付検出素子ホルダー、伝送路付フランジ、真空容器)の設計・製作を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度においては、本モニタ設計・製作の根幹となる検出器素子形状の決定が遅れたことにより、「次年度使用額(B-A)」が生じた。次年度においては、検出器素子、および、その他の部品(光電子収集電極、冷却水路付検出素子ホルダー、伝送路付フランジ、真空容器)の製作に使用する計画である。
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