研究課題/領域番号 |
18K11949
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
萩野 紀一郎 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 准教授 (70242005)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | デザイン/ビルド / 建築教育 / 建築意匠 / 身体性 / リアリティー / 素材・質感 / 原寸大・スケール感 |
研究実績の概要 |
研究計画の予定通り、2018年度は国内事例調査を実施し、2019年度は海外事例調査を実施した。2019年5月~6月に、フランスとイタリアを訪問、ナンシー建築大学の"Defis du Bois"(木の挑戦)というデザイン/ビルド・プログラム、グルノーブル建築大学のCraterre(土研究の"Festival Grains d'isere"(土の祭り)というワークショップ、トリノ工科大学が関わる"Banca del Fare"という伝統的な石積技術保存を行う建築教育プログラムを視察した。 また、2019年12月には、アメリカのユタ大学の"Design Build Bluff"というナバホ族の貧困層のために毎年一棟の住宅をつくるデザイン/ビルド授業の現場を視察した。 当初はシンポジウムなどの開催は最終年度の実施を考えていたが、スケジュール的な事情で、2020年1月には、「手で考えて身体でつくる-これからの建築教育、フランスの実例と日本との交流を通じて」を私(富山大萩野研究室)が主催して開催した。 本研究に関心を抱く建築関係者(教育・研究・実務)が多く、2019年7月に日本建築学会の建築教育委員会傘下に、私が主査となり「デザイン/ビルド設計教育WG」を立ち上げ、2019年度内に4回WGの研究会を開催した。2020年9月には日本建築学会大会にてパネル・ディスカッションを開催する準備を進めた(2020年4月に新型コロナウィルスの影響で1年延期が決定)。なお、日本建築学会大会に向けては、2020年3月に富山大学でのデザイン/ビルド建築教育について学術講演の発表および梗概を投稿した(受理されたが、前述の通り大会1年延期となった)。 また、2020年2~3月にもアメリカ、6月にフランスへ調査旅行を計画していたが、新型コロナウィルスの影響のため、事態が落ち着くまで延期した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、当初の計画通り、フランス・イタリア・アメリカでの海外の事例調査を実施できた。また、それを通じて、海外におけるデザイン/ビルド建築教育関係者とのネットワークの構築もできた。ただし、時間的な制約および年度末からの新型コロナウィルスの影響などから、現地調査を予定していた事例をすべて訪問することができなかった。 また国内のデザイン/ビルド建築教育に関わる関係者との連携やネットワークづくりについては、当初の計画以上に進展し、日本建築学会の建築教育委員会傘下に私が主査として「デザイン/ビルド設計教育WG」を開設し、活発な研究会活動や情報交換を行うことができた。2020年9月には日本建築学会大会にてパネル・ディスカッションの開催も決定し、その準備を進め、その過程においても多くの情報や知見を得た(ただし新型コロナウィルスの影響で1年延期となった)。 なお、当初はシンポジウムなどは2020年度に開催する予定だったが、2019年度(2020年1月)にフランスからデザイン/ビルド建築教育に関わる研究・教育者たちの来日に合わせ、シンポジウムを開催し、本研究のこれまでの成果を早めに発表する機会を設けることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、最終年度ではあるが、新型コロナウィルスの影響で、日本建築学会で私が主査を務めるWGで企画していた「手で考えて身体でつくる-デザイン/ビルド建築教育の可能性」が1年延期となったので、また時間をかけて準備を進めていきたい。 予定していたアメリカやフランスなどの海外事例調査も当面の間は予定が立てられない状態ではあるが、状況をみて渡航可能となったら現地調査へ行けるように準備を進めていく。なお、新型コロナウィルスの影響で、実際の訪問が実現できない一方、オンラインでの交流が進んでいるので、海外のデザイン/ビルド建築教育の授業へ参加したり、シンポジウムや会議などをオンライン開催していくことを予定している。 また実施調査や成果発表が中止になり、予定が立てられない期間を利用して、これまで収集した資料の整理などは粛々と進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年2~3月に予定していた調査が、新型コロナウィルスの影響で実施できなかった。まだ新型コロナウィルスの影響がどれだけ続くか判断できないが、状況を見極めながら2020年度に可能な範囲で研究を遂行する予定である。ただし、影響が長引くようであれば、研究期間の延長についても検討したいと考えている。
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