研究課題/領域番号 |
18K11950
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
河原 雅典 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 教授 (30389960)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 搬送具 / 背負子 / 背負梯子 / 人力運搬 / 地域住民 / 防災 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,高齢社会を迎えた地域住民が災害時に自力で移動困難者の搬送ができる仕組みを地域住民自らの手でつくることである.この研究は,単なる製品開発ではく,自作可能なものづくりを通して災害に強い地域づくりを行うものである. 研究の第二段階として,自作マニュアルの製作と検証を行った.1次マニュアルと2次マニュアルを製作し,動作時間研究により比較した. 組立マニュアルは,紙に印刷されたものを製作した.動画を提供することも考えられるが,災害時を想定している道具の組立であるので電気がなくても組立ができるマニュアルが適していると考えた. 1次マニュアルは組立手順を写真と文章で示してある.この搬送用背負梯子の特許の要である脚部の組立を容易にするため,部品を当てれば位置決めができるような台紙を用いた.2次マニュアルそれをもとに改良を加えたものである.手順を改善し,写真を図に置き換えた.脚部の組立を容易にするための位置決め用の台紙を治具に変更した.この治具も自分で組み立てるものであり,最後には背負梯子の部品となるように設計した.これらふたつのマニュアルを使って組立の比較を行った.組立の様子は,ビデオで撮影し,実験後に解析した.結果,2次マニュアルでは治具を組立し利用後は分解するという工程が増えているにもかかわらず.全体の組立に要する所要時間は1次マニュアルよりも短くなった.しかし,一部の被験者に,誤った組立をするエラーが発生した.図で示した背負梯子の形態を立体的に認識するときに錯視を起こしていた.図示の方法に改善すべき点が明確になった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被験者が図を立体認識するときに,誤解が生まれた.錯視をおこしていると思われる部分について,図の表現を改善する必要がある. 背負梯子脚部の取り外しを可能にするための部品選定,または試作に着手できていない.
|
今後の研究の推進方策 |
図面等に不慣れな人がつくるためのマニュアルであるので,十分な配慮をした組立マニュアルを作成する.誤解を生んだ図を改善し,3次マニュアルを作成する.それを用いて,再度検証実験を行う. 並行して背負梯子脚部の取り外しを可能にするための部品選定,または試作を行い,背負梯子の改良を行う. 問題がないことが確認できれば,実際に地域住民に組立を体験してもらう.本研究の目的は搬送具をただ購入するのでは無く,自らつくることによって防災意識や地域の連帯感を高めることである.実際の組み立てた意見によって,そのような意識が変わるかどうか調査する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
背負梯子の強度上の確認や,部品の選択などの打合せを行うために予定していた旅費が,新型コロナウイルス感染防止のため出張できない状況となり執行できなかった.遅れている脚部の取り外しを可能とするための部品試作も実施する.
|