研究課題/領域番号 |
18K11964
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
蘆澤 雄亮 芝浦工業大学, デザイン工学部, 准教授 (90634585)
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研究分担者 |
小山 慎一 筑波大学, 芸術系, 教授 (40420913)
山澤 浩司 芝浦工業大学, デザイン工学部, 教授 (50289831)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 感覚敏感性 / 創造的思考 / NIRS |
研究実績の概要 |
本研究では「感覚敏感性」と「創造的思考」の間に何かしらの相関性がみられるのではないかという仮説にもとづき,本学デザイン工学科の学生22名を対象にSTAI, LOI, AASP等の心理検査を実施し,そこから抽出された11名を対象に,創造・非創造的思考タスク実施時の脳活動状態をNIRSを用いて計測した. 本年度はこれら結果をもとに,心理検査とNIRS測定値の間に何かしらの相関性がみられるかどうかを解析した.昨年度状態では,タスク・非タスク時のNIRS測定値をもとにT検定を実施したところ,ほぼすべての被験者の全チャンネルに有意差,すなわち「全チャンネルにおいて賦活がみられる」という結果が出たため「分析方法を再考する必要がある」という判断に至った. 本年度はこのような結果が出た理由を「T検定の対象とする数値の量があまりに多く有意差が出やすい状態になっていた」と結論づけ,タスク・非タスク時の全数値を対象にT検定を行うのではなく,非タスク時には安定状態がハッキリ出るであろうタスク直前,タスク時には変化がハッキリ出るであろうタスク終了直前に,それぞれ代表値を取得し,T検定を実施し,各種心理検査との比較をすることにした. まず,感覚敏感性を判定する心理検査としてAASPにおける「感覚過敏」と「感覚回避」のスコアによって被験者を「敏感性が高い/低い」に分類し,それぞれのグループにおける賦活状態の比較をした.この結果,創造的思考タスクの方が前頭前野は賦活しにくく,知覚敏感性の高いグループの方が賦活しにくいことを示唆する分析結果を得た. そこで,これら結果を取りまとめ,日本デザイン学会にて口頭発表を行うべく,発表申込を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度,分析において生じた問題については当年度にある程度の解決がなされ,敏感性が高い被験者・低い被験者間における賦活状態の違いについて,考察が可能となった.当初予測では「敏感性が高い被験者の方が賦活量も多い」という仮説であったが,分析の結果はこれと真逆であった. これについては,情動処理が主に大脳辺縁系にて行われることを鑑みれば,「創造的思考時においても前頭葉ではなく大脳辺縁系での発火が多い」という推測が成り立つが,これについては別途,検証が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
当初想定では,習熟度変化として同じ被験者に対する時系列変化を観測する予定であったが,「感覚敏感性と創造的思考時の脳活動の関係」そのものについて,当初仮説とは全く違う結果が得られたため,本研究ではこの点について再度検証を行うこととする. 感覚敏感性については評価方法が確定したため,他の学生に対してもAASPテストを実施し,「敏感性が高い/低い」両方の潜在被験者数を増やす. その後,非創造的/創造的思考について,その質も問えるようなタスクを検討し,タスクを実施するとともに,その際のNIRS測定を実施,代表値によるT検定による賦活判定,被験者グループ間の比較を実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,国際学会等で発表を想定していたが,昨年度状態では結果が出ていなかったため,これについては次年度繰越にて,これを実施する.また,研究についても新たに検証が必要な項目が生じたため,当初計画から変更し,余剰となった分については,新たな検証に必要となる費用として充当する.
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