本研究は,これまでに行われていない「工学と医学・看護学との学際分野」に着目し,拡大する在宅医療の防災性向上をこれまでにない速度で実現するものである.研究は,着目した学際分野における新たな課題を医療等の現場より集めて分析し,より現実的で実用可能な医療防災プロダクトのデザインを開発することが目的である.そして,将来的にこの成果を在宅医療の加え病院や診療所,そして訪問看護ステーションへ還元することを目指している.この研究で特筆すべきことは,医師,臨床工学技士やケアマネジャーとのインタビュー調査に加え,アンケート調査等の分析を充実させて課題を明確化,さらにはこれまで把握されていない在宅医療現場における日常の医療活動に支障を及ぼさないための条件を明らかにする.そして,防災プロダクトデザインを開発,第三者が参画した審査会・ヒアリング等を通じて研究の客観性を担保しながら,これらの試験運用を経て防災プロダクトを開発した.2022年度(令和4年度)は,着目した防災プロダクト(守秘義務の都合上詳細な構造は非公開)を対象に,医療関係者や医療デバイスのメーカーと共に性能評価を行うための実験を実施した.さらには,誰もが容易に使用できるガウンのユーザビリティ調査から真の課題を整理し,開発に反映することができた.また,坂井市等自治体の協力を得て,100名を超えるユーザーを対象に性能評価に関する調査を行うことにも成功した.研究成果については,第28回日本災害医学会において研究生を口頭で発表を実施し,研究成果を公開した.
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