研究課題/領域番号 |
18K11971
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
杉浦 明弘 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 講師 (00528630)
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研究分担者 |
高田 宗樹 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (40398855)
田中 邦彦 岐阜医療科学大学, 薬学部, 教授 (60313871)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 映像酔い / 視覚運動性眼振 / 視覚誘導性姿勢変化 / ガルバニック前庭電気刺激 |
研究実績の概要 |
本研究では視覚誘導性姿勢変化を外的もしくは内的に制御した場合の映像酔いに与える影響の調査と,それを基にした映像酔い予防方法の提案を目的としている.これまでに視覚運動性眼振(以下:OKN)が発生しやすい映像視聴・内的制御(体動に関わる意識統制)下において,動揺病感受性が高い人ほどOKNが起こりにくい可能性を明らかにした.また,ディープラーニングを用いて中心視認と周辺視認時の眼球運動をリアルタイムに判別するための基礎的検討を行い,1秒程度の測定結果があれば,90%以上の精度にて判別できることも明らかにしてきた. 本年度はコロナウイルス感染症の影響が少ない時期に,視覚誘導性姿勢変化を外的に制御した場合の眼球運動,身体動揺および映像酔い主観評価へ及ぼす影響について計画通り検証を行うことができた.本検証では視覚誘導性姿勢変化の外的制御としてガルバニック前庭電気刺激(以下:GVS)を採用した.GVSは,経皮的に両前庭器官に電流刺激を加えることで,平衡感覚に人工的な入力を加える方法であり,電流の大きさに従い,アノード側に傾斜感や加速度感を得ることができるものである.視覚刺激は左右方向へ0.25Hzで正弦波状に揺れる映像を使用し,GVSは映像と同じ0.25 Hzの正弦波様の交流電流を用いた.視覚刺激とGVSのタイミングを調整し,映像視聴のみ,GVSのみ,同位相(視覚刺激とGVSが同位相),逆位相(視覚刺激とGVSが逆位相)の場合について検証した.本検証の結果について,視覚誘導性姿勢変化のGVSによる外的制御は可能であること,内的制御の場合とは異なり,動揺病感受性とOKNの発生頻度に関連性は確認されなかった.そして主観評価については,逆位相が最も酔い自覚が強く,順に,順位相,GVSのみ,映像のみという結果になった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度にはコロナウイルス感染症の影響で延期していた,GVSによる外的制御に関する検証実験を行うことはできた.しかし研究計画遅延の影響は大きく,本研究課題の最終的な結論を導くには未だ検証が足りていない状況であった.そのため,1年間補助事業期間延長を申請した.本研究の総括に向け必要な検証や解析,そして研究成果の公表を行う準備を進める.
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今後の研究の推進方策 |
これまで視覚誘導性姿勢変化の内的および外的制御に関する実験をそれぞれ単独で行ってきたが,両者を同一被験者で同時期に一度も検証しておらず,内的制御と外的制御を直接比較することは困難であった.そのため延長期間では,同一被験者に対する両者の検証を行い,内的制御と外的制御の影響を直接比較する予定である.また,これまで行ってこなかった,視覚刺激やGVSを入力,身体動揺を出力とした系を想定した,伝達関数解析やその他の解析に着手し,これまで得られた知見をまとめ本研究課題を総括する.
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次年度使用額が生じた理由 |
期間延長を行い,成果発表の一部を次年度に繰り越したためである.成果発表や消耗品等に利用する予定である.
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