システムの感覚運動機能への自動介入が視覚情報に基づく社会的判断に与える影響の解明

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 18K11979
• 研究機関: 国立研究開発法人理化学研究所
• 研究代表者: 上田 彩子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (40582416)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: 他者評価 / アバター / 社会的インタラクション場面 / ヴァーチャル・リアリティ

研究実績の概要

近年，自動運転車など，システム(機械)が人間の感覚運動機能に自動的に介入する情報技術の実装化が急速に広まっている。近い将来、こうした自動化技術によって機能が拡張された個人を含む社会的インタラクションが日常的なものになることが予想される。
本研究課題の目的は，自動化技術の感覚運動機能への介入が，社会的インタラクション場面の視覚情報に基づく社会的判断に与える影響について検討するというものであり，本年度の主な研究実施計画は，実験参加者をリクルート後，本実験を速やかに行い，得られた結果を解析後，まとめ，学会やジャーナル等で発表することであった。具体的な本実験の内容は，装着型のVR装置を利用するものであり，昨年度までに構築したヴァーチャル・リアリティ空間上で，プログラムによって制御された他者アバターと競合あるいは非競合課題を行い，自分あるいは他者が用いるアバターの性能の違いが他者や自分に対する社会的判断にどのように影響を及ぼすのか検討するものであった。しかしながら，新型コロナ感染対策のクライテリアに照らし合わせて本実験の流れを検討したところ，装置の設置やキャリブレーションなど，本実験の実施に必要な準備や，実験中にプログラムがストップするなどのトラブルが起きた場合，想定以上に実験参加者と密に接する時間が長くなることが判明した。そこで，実験者の介入ができるだけ少なくなるような，自動化したシステムを新たに構築することで，この問題に対応することにした。そのため，本年度は主にこの開発に取り組んだ。

現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

上記概要にも記述したが，最も大きな理由は、新型コロナの影響である。新型コロナ感染対策のクライテリアにあわせた実験環境の構築が新たに必要となったため，その対応に追われている状況である。また，外部の実験参加者をコンスタントに呼ぶことがまだ難しい状況である。

今後の研究の推進方策

本年度は、新型コロナ感染対策のクライテリアにあわせた実験環境の構築を完成後，慎重に外部実験参加者をリクルートし，速やかに本実験を実施し、解析を行い、研究をまとめる。また、学会・論文等で研究成果の発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

本課題を適切に遂行するために，新たに実験環境を構築するための機材が必要である。また，プログラムの作成を行うサポートスタッフの人件費や，実験参加者への謝礼，英文校閲の費用，実験結果を発表するための海外学会への参加等を予定している。