研究課題/領域番号 |
18K11987
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金杉 洋 東京大学, 空間情報科学研究センター, 特任研究員 (00526907)
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研究分担者 |
瀬戸 寿一 東京大学, 空間情報科学研究センター, 特任講師 (80454502)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オープンストリートマップ / データ品質評価 / デジタル道路地図 / VGI |
研究実績の概要 |
今年度は先行研究にて提案されたOSM道路データの品質評価指標を援用し,特に日本全国を対象にOSM道路データの位置と完全性の観点から,市区町村と1kmメッシュ単位で既往の道路データ(DRM:デジタル道路地図)との比較を実施し,両道路データの差異を考察した. その結果,OSM道路データがDRMと概ね同程度の位置で整備されていることが示されたが,OSM道路データは主に衛星画像を判読して編集されることから,衛星画像から判読困難な場所(トンネル・山間部など)では,両道路データの位置に差異が見られる.また,OSM道路データはDRMに比べ,郊外地域や山間部において高い網羅率を示し,DRMに含まれない細かな道路をOSM道路データが広くカバーしていることが示された.一方で,都市部の網羅率は両道路の間に顕著な差異は無いものの,都市部周辺の郊外地域でOSM道路データの網羅率が低い結果となり,新規開通した道路の登録が衛星画像への反映遅れやデータ編集者の不在により遅れている可能性が示唆された. 今年度は特に位置と完全性に着目しDRMとの比較を実施したが,道路種別の対応関係,新規道路の開通状況やOSMデータの編集日時,地域毎のOSM道路データの編集参加人数などを特徴量として加味した上で,評価・改善が引き続き必要である.また,比較対象とする道路データもDRMに限らず,入手可能な他の道路データとの比較・評価も必要であろう.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度実施を予定していた,既往研究で提案されたOSM道路データの品質評価手法の調査と援用可能性の検討は,主に位置と完全性について日本全国を対象に実際に適用可能性を検討し,学術論文としての掲載に至っている.他の特徴量についても継続検討が必要であるが,基本的な処理手順は再利用可能であるため,次年度の評価モデルの検証・改善の効率化に寄与できる. 一方で,海外(特に途上国等)における評価手法の適用可能性については,比較対象となる道路データの有無や利用可能性を含めて,引き続き調査が必要である
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今後の研究の推進方策 |
次年度に計画している評価手法の検証と改善については,今年度に検討した評価手法を基盤として,他の特徴量の追加と,他の道路データへの適用を中心に検討を進める.特に,可能であれば実際にOSMを編集を行うボランティアの方からのフィードバックを得る機会を検討したい. また,広域適用へ向けたシステム化では,今年度に整備した処理手順のベンチマークを実施し,改善点の抽出しシステム設計を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
学術雑誌への論文掲載が次年度分となり,掲載料が次年度の支払いとなるため 次年度開催のOSMに関する国際会議(SotM)への旅費・参加費としての支出を予定
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