研究実績の概要 |
日常生活における会話文の頻出する基本的な文体的特徴を抽出するため,国立国語研究所で開発中の大規模日常会話コーパスの試用版を用いて,文体的な特徴が出現しやすいと考えられる助詞・助動詞の出現頻度を対象として因子分析を用いて抽出した.日常会話文を分析した結果"Neutral style," "Dialect style," "Frank style," "Polite style," "Feminine style," "Crude style," "Series style," and "Parallel style"の8種類の基本的な日常会話文体が得られた.この結果を国立国語研究所で作成された現代日本語書き言葉均衡コーパスでの物語における会話文での同様の分析結果と比較した結果,"Series style"と "Parallel style"が日常会話文の場合にのみ出現する基本文体であることが判明した.逆に物語中の会話で出現する"Aged style," "Interrogative style," "Approval style," "Dandy style"の4種類の基本的な文体のパターンは日常会話文では出現しなかった.
また現代日本語書き言葉均衡コーパスの物語テキスト中の発話文を,発話者の意図に基づいて19種類に分類し,それらの意図のタグを付与したコーパスを構築した.構築されたコーパスを発話者の年齢,性別,発話者と相手の関係で分析したところ,結果として,物語テキスト中の会話では成人男性は相手への反応として「質問」を利用する形で描かれることが顕著であるのに対し,成人女性は「依頼」「感情」「感謝」など「質問」以外にも多様なパターンを用いる形で描かれる傾向が強いことが明らかになった.特に「感謝」や「配慮」で相手に反応するパターンは成人女性に顕著であった.
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