研究課題/領域番号 |
18K11998
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
李 洪千 東京都市大学, メディア情報学部, 准教授 (80621200)
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研究分担者 |
小川 恒夫 東海大学, 文化社会学部, 教授 (60256162)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 空気 / 日韓関係 / 国民情緒 / 社会的圧力 / 水差し |
研究実績の概要 |
研究計画に従い、2019年度は嫌韓本の収集を行い、資料をデジタル化する作業を行った。作業は2000年以降から2019年までに行う計画であるが、現在は2016年までにとどまっている。2020年において残った期間における作業を続ける計画である。収集したデータからは以下の結果が得られた。嫌韓本は2012年から2015年までの発行がもっとも多く、半分ほどを占めている。嫌韓本の発行は日韓関係の変化と必ずしも連動せず、日本の国内状況の要因も作用していることが推測される。引き続き検討が必要である。 また、インターネットアンケート調査を両国で実施する予定であったが、年末から韓国の状況が選挙モードに変わり調査期間に発注することができない状況であり、選挙が終わることを待つことになった。しかし、コロナ拡散によってアンケートを実施しても予想される結果が得られないと判断したため、調査の実施を延期した。2020年の実施はコロナに対する規制が緩和される8月中をめどに実施を調整していく予定である。 韓国におけるインタビュー調査は、去年8月に4人の東京特派員の経験者を対象に行った。インタビュー調査を通じて日本に対する認識の変化、認識の変化を韓国に伝える時に感じる社会的圧力があるかを調査した。インタビューの結果からは、彼らは帰国後に日本を肯定するような言説を控え、日本に対する話題を避ける傾向がある。その理由として、日本社会を肯定する言説や日本の立場を説明することを控えるように圧力を感じているようである。 共同研究者は、次のような研究を行っている。小川恒夫「政治メディアの熟慮誘発機能測定尺度の開発」『政経研究』56巻第2号、日本大学法学会、2019年7月、733-750. 本研究は「反韓国の空気」を感じている人に対して、反対の多様なフレーム情報を見せて「どの程度熟慮モードに入るか」の検討したものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画されていた資料が、予想されていいたより量が多く、内容を把握、確認、デジタル化することに予定されて研究時間内では完了できない状況である。また、韓国の政治状況とコロナによる社会情勢の変化で研究調査が予定通りに進まなくなっている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年は研究成果を海外学会に発表することを計画していたが、その内容を変更し、達成されなかった資料の収集と分析を徹底し、その成果をまとめることにしたい。そのため、発表よりは学会雑誌への論文投稿や本の出版などを行うことにしたい。書籍の出版については、共同研究者を含めて複数の執筆者と協議を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に日本と韓国を対象に実施予定だったアンケート調査が実施されず、その予算の持ち越しとなっている。今年はアンケート調査の計画を再調整し、予算の実行を行う計画である。
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