本研究は、未経験の質感をもつ仮想テクスチャを言語で表現する実験を通じ、新しい言葉が創り出されるしくみについての理論を認知言語学の観点から構築することを目指す。言葉の中でも、特にオノマトペ(擬音語・擬態語)に着目し、慣習的なオノマトペ(「さらさら」等)に対し、発話の場で新しく創られるオノマトペである「臨時オノマトペ」(「しゃわわん」等)の実態について、計量的手法を取り入れることによって明らかにする。 本研究の中核となる視覚的に触感覚を表現するアプリケーションによって、タブレットで様々な仮想テクスチャを実験参加者に提示し、オノマトペで表現してもらう実験について、すでに成果は発表しているが、更にその結果に基づき、認知言語学の研究に対して持つ意義について理論的な検討を行い、複数の講演で発表した。 更に、前年度、本研究で構築した、質感探索に用いられるオノマトペを研究する手法を、仮想テクスチャの質感認知以外にも応用する可能性を探索した。その一つとして、食べ物のテクスチャの質感認知を表すオノマトペの研究を行ったが、それを今年度は、音象徴の研究としても展開し論文化した。
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