本研究では、成人の脳でみられるブローカ野を含む脳左半球の下前頭野の系列処理のドメイン普遍性を、子どもの発達脳でもみられるかどうかを検証した。そのために、既知メロディ条件と未知メロディ条件でメロディの見本合わせ課題を遂行中の両側下前頭野の賦活を調べた。結果、子どもでは学習歴に関わらず、条件間で賦活の強さに差がなかった。一方、成人では未知条件、すなわち処理の負荷が高い条件で賦活が高かった。すなわち、子どものメロディ知覚、すなわち系列処理はブローカ野を含む下前頭野に依存しない可能性を示唆した。この結果より、子どもでは成人のように言語を系列(すなわち文法)に依存して理解しない可能性を示唆している。
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