研究課題/領域番号 |
18K12013
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
野中 哲士 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20520133)
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研究分担者 |
伊藤 精英 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (90325895)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 知覚 / 発達 / 知覚学習 / アクティブタッチ / 探索行動 / ハプティクス / 身体運動 / アフォーダンス |
研究実績の概要 |
環境への柔軟な適応の基盤となる知覚において,外界の情報を探索する能動的な身体運動が果たす役割については、以前として未解明な部分が多い。本研究提案は,複雑な刺激情報を選り分け,有用な一群の刺激を浮かび上がらせる身体運動の側面から,実世界における能動触知覚(アクティブタッチ)技能の獲得プロセスの理解を目的とするものである。アクティブタッチ技能の獲得が生活の質に大きく影響する視覚障害児を対象とし、大人になってからの習得が困難であるとされる点字の触読にともなうアクティブタッチ技能の獲得過程における探索的身体運動の変遷を縦断的に検討している。現在、柔軟なワイヤー型の3次元動作解析装置と,複雑な時系列変化の特徴抽出を可能にする非線形解析という道具立てを用いて、予備実験を経て、視覚特別支援学校および盲学校に在籍する8名の児童の縦断的計測を開始している。児童の点字の触読の縦断的データが最終的にすべての揃うのは2020年3月を予定している。現時点での計測済みのデータをもとにした成果報告の学会発表が、2019年にオランダのフローニンゲンにて行われる国際学会International Conference on Perception and Actionにおいて採択されている。また、本研究プロジェクトの一環として、Routledgeから2019年8月に刊行される英文学術書籍“Perception as Information Detection: Reflections on Gibson’s Ecological Approach to Visual Perception”の第2章を分担し(20頁)、知覚にともなうアクティブな探索技能を可能にする「媒質」の問題について、視覚と触覚の対比から論じる論文を執筆した。2018年の6月に分担研究者のはこだて未来大学の伊藤精英教授が研究代表者の所属する神戸大学に訪れ、研究打ち合わせおよび予備実験を行うとともに、計測場所の視覚支援学校に訪問して今後の計測に関する打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年の6月に分担研究者のはこだて未来大学の伊藤精英教授が研究代表者の所属する神戸大学に訪れ、研究打ち合わせおよび予備実験を行うとともに、計測場所の視覚支援学校に訪問して今後の計測に関する打ち合わせを行った。現在、最新の柔軟なワイヤー型センサーと,複雑な時系列変化の特徴抽出を可能にする非線形解析という道具立てを用いて、予備実験を経て、視覚特別支援学校および盲学校に在籍する8名の児童の縦断的計測を開始している。最終的にすべてのデータが揃うのは2020年3月を予定しているが、計測済みのデータをもとにした成果報告の学会発表が、2019年にオランダのフローニンゲンにて行われる国際学会International Conference on Perception and Actionにおいて採択されている。本研究プロジェクトの一環として、Routledgeから出版される英文学術書籍“Perception as Information Detection: Reflections on Gibson’s Ecological Approach to Visual Perception”にて、知覚にともなうアクティブな探索技能について論じた論文の公刊が決定しており(2019年8月に公刊)、当初の計画以上とは言えないまでも、おおむね順調に研究が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度いっぱいは定期的に縦断的な計測実験を行うとともに、2019年にオランダのフローニンゲンにて行われる国際学会International Conference on Perception and Actionにおいて、計測済みのデータの予備的な分析結果を報告する。今年度末にすべての計測を終えた時点で、速やかにデータ分析を行い、複数の切り口から触読におけるアクティブタッチ技能の獲得に見られる特徴を抽出することから得られた知見を、国際学術論文において報告する。続いて、本年度に購入予定の3次元動作解析システムを用いた探索技能の実験を行うことを計画している
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次年度使用額が生じた理由 |
計測用のセンサーやソフトウェア、その他備品の価格が当初の計画とは購入時に若干異なったため、799円を次年度使用額として残すことになった。翌年度分として請求した助成金とあわせて、今後の実験に用いる3次元動作解析システムの購入およびオランダで行われる国際学会への研究代表者および研究分担者の渡航費として使用することを計画している。
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