研究課題/領域番号 |
18K12016
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山下 和香代 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (70580067)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 認知科学 / 知覚 / 発達 / 環境 |
研究実績の概要 |
個人の視覚環境の違いとその視覚発達メカニズムについて、乳幼児を対象とした視覚環境の調査と実験的研究により検討することが本研究の目的である。日常的な視覚環境による経験を調査するために、乳幼児に適用可能なカメラの選定とデータ採取を依頼する乳幼児の確保、調査のプロトコルを前年度に確立していた。これらをもとに、乳幼児が日常生活を過ごしている環境にて乳幼児視点における風景を撮影しデータ取得に取り組んだ。また、取得した画像データに含まれる特徴分析を行い解析し、色度座標の分布に着目すると、成人が取得している視覚環境と乳幼児が取得している視覚環境とでは、同じ空間で同じ時間を過ごしていても異なる特徴がみられることを確認した。色度座標の分布以外の特徴についても着目していることはあるが、今はまだ明確な結果に至っていない。今後、これらが発達や環境に伴い何が変化するのか(あるいは、何が変化しないのか)、個人間でどのくらい同じ(あるいは、違いがあるのか)より詳細に統計分析を用いて検討していく。 今年度からはこれらの環境調査に並行して、この統計分析で得られた結果をベースにして実験的研究を遂行するために、実験室環境や実験機材を揃え、予備実験をした。本実験へ移行するために試行錯誤を繰り返している段階である。また、乳幼児の日常的な視覚環境調査で取得したデータを整理しデータベース化するために調整し、継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成31年度の実施計画に沿って日常的な視覚環境の調査を推し進めた。調査に利用するカメラ(生産中止)の代替品を用意している最中に、もともと利用していたカメラが使用できなくなるトラブルが発生し、データ取得を中断せざるを得なくなったため予定よりデータ取得に遅れが出た。カメラを使用できなかった期間は、それまでに取得できたデータを整理しデータベース化する準備期間にあてた。
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今後の研究の推進方策 |
日常的な視覚環境による経験を調査するために、乳幼児が日常生活を過ごしている環境において、乳幼児の頭部にwearable cameraを設定し、乳幼児視点における風景の撮影を再開し、データ分析を行う。効率的にデータ取得するために、これまでに検討してきた乳児向けのカメラを複数用意する。発達や環境に伴い何が変化するのか(あるいは、何が変化しないのか)統計分析を用いて検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度から引き続き、乳幼児から画像データを取得するためにカメラによるデータ取得を進めていた。カメラは既に生産中止になっており、入手困難であるため、代替品を探し乳幼児に適用できるように工作改良を繰り返し検討した。この間、データ取得が想定より少なくなっていた。その上、唯一手元にあり乳幼児からデータ取得するために使用していたカメラが使用できなくなるハプニングが生じた。別のカメラを用意し、データ取得を再開するタイミングで、新型コロナウィルス感染症が流行し、感染拡大リスクを避けるため、データ取得を中断せざるを得なくなった。予定していた出張についても、研究会が次年度に開催延期になった。これらの事情により次年度使用額が生じた。現時点では、カメラを複数購入し機材を増やし、データ取得のために協力してくださる乳幼児への謝金、画像解析するためのPC購入、開催延期になった研究会への出張旅費などに使用し、研究を遂行していく計画である。
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