研究課題
本年度は個人の視覚環境がどの程度同じか(あるいは、異なっているか)を調べることを目的とし、乳幼児を対象とした日常的な視覚環境の調査を行った。前年度途中にこれまで利用していたカメラが使用できなくなるトラブルが発生していたため、本年度は新しいカメラの購入、乳幼児用への導入の検証、設定およびキャリブレーションを行い、これまでに確立していた調査のプロトコル通りデータ取得できることを確認した。乳幼児が日常生活を過ごしている環境にて乳幼児視点における風景を撮影しデータ取得に取り組みつつ、取得できたデータについてはデータベース化するために時系列データにそって整理をすすめた。また、取得した画像データに含まれる特徴分析の解析では、色度座標の分布に着目すると、成人が取得している視覚環境と乳幼児が取得している視覚環境とでは、同じ空間で同じ時間を過ごしていても異なる特徴がみられることを確認した。一方、乳幼児間では異なる空間で過ごしているにも関わらず類似した分布を示しているが、これらについて空間的、時間的により詳細に検討していく必要があり、まだ明確な結果には至っていない。発達や環境に伴う変化により、個人間で何の特徴がどのくらい同じなのか、あるいはどのくらい異なっているのか詳細に統計分析を用いて検討していく。環境調査に並行して実験的研究を遂行するために、昨年度末に始めた実験室環境整備や予備実験は試行錯誤を続けほぼ完了している。
3: やや遅れている
平成31年度末に調査に利用していたカメラが使用できなくなるトラブルが発生していたので新しいカメラの購入、乳幼児用への導入の検証を行い、これまでに確立していた調査のプロトコル通りデータ取得できるかどうか確認するのに時間がかかった。そして新型コロナウィルス感染症拡大防止のために実験中断をよぎなくされたため予定よりデータ取得に遅れが出た。データ取得ができなかった期間は、カメラを複数台購入しキャリブレーションおよび設定を行ったり、データ解析を進めた。
日常的な視覚環境による経験を調査するために、乳幼児が日常生活を過ごしている環境で乳幼児視点における風景の撮影を行い画像解析を行う。乳児向けのカメラを複数台用意することができているので複数家庭に並行して実施する。また、これまでのデータから色度分布での解析や周波数解析など的を絞って画像解析を進める予定である。
新型コロナウィルス感染症の流行の影響を受け、感染拡大リスクを避けるため、前半はデータ取得ができない期間が長かった。また、今年度に予定していた出張についても、国内外の研究会や学会がオンライン実施になり旅費の支出がなかった。これらの事情により次年度使用額が生じた。今後の使用計画は、データ取得のために協力してくださる乳幼児への謝金、画像解析するために計算効率のよいPC購入、研究成果を論文としてまとめ投稿にかかる費用に使用予定である。
すべて 2020 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
Journal of the Optical Society of America A
巻: 37 ページ: 1958~1958
10.1364/JOSAA.398677
Vision Research
巻: 172 ページ: 1~10
10.1016/j.visres.2020.04.009
https://ris.kuas.kagoshima-u.ac.jp/html/100005706_ja.html