研究課題/領域番号 |
18K12019
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研究機関 | 東北文化学園大学 |
研究代表者 |
柴田 寛 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 准教授 (00614900)
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研究分担者 |
小川 健二 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (50586021)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 多感覚 / 言語理解 / 言語表出 / 感覚表象 / 運動表象 / 言語表象 / fMRI |
研究実績の概要 |
言葉の意味を理解するためには、「言葉」が身体を通じて実際に経験した「感覚」表象や「運動」表象と脳内でつながって表現されている必要があるとする考え方がある。言語処理には「言語」情報から「感覚・運動」表象への変換である言葉理解過程と、「感覚・運動」表象から「言語」情報への変換である言語表出過程が想定される。本研究では、これらの2つの過程を統合して説明する脳機能モデルの構築を目指す。 2018年度は感覚刺激(動物の写真と鳴き声)および言語刺激(文字と音声)を用いて、これらを内的に変換する過程を解明するための実験準備を整えてfMRI実験を開始した。MRI室内で聴覚刺激を提示するシステムに不具合が生じたため、視覚刺激である写真と文字の変換過程の解明を目指す実験を優先して進めた。4つの実験条件(①写真刺激からその視覚表象を生成する条件、②写真刺激から対応する文字表象を生成する条件、③文字刺激から対応する視覚表象を生成する条件、④文字刺激からその文字表象を生成する条件)に統制条件を加えた実験課題を実施しており、2019年度も継続する。 このほかに手の動作場面を対象として、それらを説明する写真刺激と文章刺激から視覚表象と言語表象を生成する過程を調べたfMRI実験の成果を発表した。これらの研究では生成する表象の種類に応じて運動関連領野の活動が異なる結果などを示している。これらの実験から得られた知見も本研究で提案する脳機能モデルに取り入れる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MRI室内で音声刺激を提示するシステムに不具合が生じたため、聴覚刺激を用いない実験を優先して実施した。当初の予定よりもやや遅れているが、2019年度の実験開始を早めることで遅れを取り戻すことができる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は視覚表象と文字表象の生成過程を解明するためのfMRI実験を継続して実施する。さらに聴覚刺激を用いて聴覚表象と音声表象の生成過程を解明するためのfMRI実験も実施する。ただし聴覚刺激提示の調整に時間を要するようであれば、触覚表象と言語表象の生成過程に関与する処理を解明するためのfMRI実験を優先して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
聴覚刺激の提示に調整が必要であり、予定よりやや遅れが生じた。学会発表のための旅費、MRI使用料、研究への協力者に支払う謝金などを繰り越すことになった。
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