研究課題
本年度は,昨年度までに蓄積してきたキャリブレーション法やビーム強度不均一性を補正する方法に関する知見をもとに,実際のラット脳のex vivoイメージングを実施した(2019年度は3回の撮像実験を高エネルギー加速器研究機構において実施).ラットに非放射性ヨウ素造影剤を投与した後,脳を摘出し,ホルマリンで固定した試料を用意した(京都薬科大学から供与).高エネルギー加速器研究機構のビームラインARNE-7Aに構築したマルチピンホール型蛍光X線CTを用いて,本試料を測定したところ,脳内に蓄積するヨウ素造影剤分布を確認した.アクリル製物理ファントム内にさまざまな濃度のヨウ素造影剤を封入して撮像した再構成画像からキャリブレーションカーブを作成し,脳内のヨウ素の3次元濃度分布の定量化を実現した.従来得られていたヨウ素造影剤を用いた脳ex vivo画像は2次元であったが,今回世界で初めて3次元画像を取得することができた.また,蛍光X線CTによりラット脳内の代謝情報を得ることができる可能性があることを示した.
2: おおむね順調に進展している
これまで,生体サンプルからヨウ素造影剤を用いて得られた蛍光X線CT画像はすべて2次元断層像であったが,本年度の実験により3次元断層画像を世界で初めて取得することができたため.
これまで撮像実験を行ってきた高エネルギー加速器研究機構ARにおいて,従来の加速電圧6.5 GeV運転から5.0 GeV運転に変更されたことにより,AuおよびGd造影剤のK殻蛍光X線を発生させることができる入射X線エネルギーが得られなくなった.当初はAuやGdナノ粒子を想定していたが,これらを利用することは断念した.次善策として,AgIナノ粒子を用いることを考えている.ヨウ素造影剤では十分な実績があるので,AgIナノ粒子は非常に有望な造影剤であるのではないかと期待している.現在,入手方法などを調査中である.
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件)
Journal of Medical Imaging
巻: 7 ページ: 026001
Breast Cancer Research and Treatment
巻: 180 ページ: 397-405
10.1007/s10549-020-05574-w
PROCEEDINGS OF THE 13TH INTERNATIONAL CONFERENCE ON SYNCHROTRON RADIATION INSTRUMENTATION
巻: 2054(1) ページ: 050010
10.1063/1.5084628
Biomedical Applications in Molecular, Structural, and Functional Imaging
巻: 10953 ページ: 109531I
10.1117/12.2512145
Proceeding of 2019 27th European Signal Processing Conference (EUSIPCO)
巻: N/A ページ: 1-4
10.23919/EUSIPCO.2019.8903048