研究課題/領域番号 |
18K12028
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安東 頼子 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (10514234)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バイオメカニクス / 発生 / Xenopus laevis / 残留応力 / 蛍光イメージング / ひずみ / 透明化 / 胚発生 |
研究実績の概要 |
本研究は、胚発生過程の形態形成原理を明らかにするために、胚内部の3次元的力学状態を明らかにすることを目的とする。そのためには、胚内部の3次元組織構造と組織ごとの力学特性、組織間の力のバランスを求める必要があるが、3次元組織構造については十分な情報が得られていない。そこで、平成30年度は、発生の研究で多用されるアフリカツメガエル胚を対象とし、透明化した胚の全領域を蛍光イメージングすることで内部組織の3次元構造の定量化を行った。サンプルとして、Stage 22-36の尾芽胚各発生段階における、細胞膜に蛍光タンパク質RFPを強制発現させた遺伝子改変(mem-RFP Tg) アフリカツメガエル(Xenopus laevis)胚を用いた。Becherらの透明化法(BABB法)を改良し、胚の透明化を行った。BABB法による透明化の影響で、胚が縮むことが知られているので、胚の前後軸、背腹軸、左右軸各方向における収縮率を求め、有限要素法で使用するモデル作成の際に考慮する。共焦点蛍光顕微鏡(Zeiss)を用いた透明化胚の蛍光イメージングを行った。 医用画像処理ソフトMimicsを用いて蛍光イメージングz stack画像から各組織のセグメンテーション、3D再構成を行い、胚内部3次元組織構造を得た。有限要素法によるモデル解析に用いるため、得られた胚内部3次元構造から、各発生段階における平均的な組織構造を求めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[組織透明化] Becherらの透明化法(BABB法)を改良し、胚の透明化を行った。 [透明化による胚の収縮率測定]BABB法による透明化の影響で、胚が縮むことが知られている。胚の前後軸、背腹軸、左右軸各方向における収縮率を求め、有限要素法で使用するモデル作成の際に考慮する。 [蛍光イメージング] 共焦点蛍光顕微鏡(Zeiss)を用いた透明化胚の蛍光イメージングを行った。 [画像解析] 医用画像処理ソフトMimicsを用いて蛍光イメージングz stack画像から各組織のセグメンテーション、3D再構成を行い、胚内部3次元組織構造を得た。有限要素法によるモデル解析に用いるため、得られた胚内部3次元構造から、各発生段階における平均的な組織構造を求めた。
上記の実験、解析を全て予定通り達成することができたので、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
組織透明化法および蛍光イメージング法から得られた3次元胚内部組織構造と、先行研究から得られた組織毎の力学特性、残留応力と合わせ、有限要素法による力学モデル解析を行い、胚内部の3次元応力・ひずみ分布を求める。更に胚内部における収縮関連タンパク質(アクチン、ミオシン、リン酸化ミオシン)の発現部位を3次元的に特定し、力学場分布との関係を明らかにすることにより、胚内部の形態形成過程におけるミクロな力学因子と発生現象の関連を解明することを目指す。 [有限要素法による力学モデル解析] 本研究および先行研究で得られた組織3次元構造と各組織のヤング率、ポワソン比などをパラメータとして有限要素法による力学モデル解析を行い、各発生段階における胚内部の3次元応力・ひずみ分布を求める。 [胚内部収縮関連タンパク質発現部位可視化] mem-RFP Tg アフリカツメガエル胚を用い、組織透明化処理と同時に収縮関連タンパク質(アクチン、ミオシン、リン酸化ミオシン)を免疫染色した胚を共焦点蛍光イメージング測定する。組織構造を同時に観測することで、形態形成に関連するタンパク質の発現部位を3次元的に特定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
設備備品として購入予定であった共焦点顕微鏡対物レンズを設置する共焦点顕微鏡(Zeiss)の導入が当初の予定より遅れたため、平成30年度にレンズの購入を行なわなかったため。
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