研究課題/領域番号 |
18K12030
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近江 雅人 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60273645)
|
研究分担者 |
石川 正和 広島大学, 医系科学研究科(医), 寄附講座准教授 (60372158)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | OCT / KTN光偏向器 / En face OCT / 整形外科応用 |
研究実績の概要 |
1.世界最高速の光偏向方式OCTの開発:本研究では、KTN光偏向器による超高速タイムドメイン方式のEn face OCTを構築した。OCT干渉光学系は光源にSLD光を用いたマッハツェンダー型干渉計である。参照光アームはステップモータを取り付けた可動ミラーで構成した。サンプル光にはKTN光偏向器を用い、200kHzの三角波電圧を印加することでKTN光偏向器が動作し、入射光をy軸方向に走査した。これと同期させてガルバノミラーに三角波電圧を印加して駆動させ、光をx軸方向に走査させx-y平面をビームスキャンする。このEn face 2次元OCT画像を800フレーム/秒(fps)の速さで取得できた。この速度は世界最高速のタイムドメイン方式のEn face OCTである。 2.KTN光走査ユニットの試作と実用装置展開:OCTシステムのサンプル照射用のため、リレーレンズなどの光学部品を一体化したKTN光走査ユニットを開発した。KTN結晶は、紫外線に影響を受けやすいためにフードを備え、更にKTN光偏向器は熱レンズ効果補償用のシリンドリカルレンズと共に一体化した。本装置は連携企業と協力して、光走査ユニットを装備したOCT測定器を可搬型システムとして構成し、OCT装置の実用化を進めている。 3.初期変形性関節症のOCT画像診断への応用:マウス変形性膝関節症モデルを用いてOCTイメージを取得した。OCTイメージから正常部と異常部位の差異の定量的解析を行った。OCT画像の解析ソフトを開発し、これにより関心領域(ROI)を設けてOCT画像におけるBitmap形式からCVS形式に変換し、OCT値として定量的に評価した。OCTを取得したサンプルの組織切片を作成し、組織学的な初見とOCT画像との比較を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.世界最高速の光偏向方式OCTの開発:本研究では、KTN光偏向器をサンプルアームに導入した超高速タイムドメイン方式のEn face OCTを構築した。本研究で開発したEn face 2次元OCT画像は800フレーム/秒(fps)の速さで取得できている。これは世界最高速のEn face OCTである。 2.KTN光走査ユニットの試作と実用装置展開:本研究では、OCTシステムのサンプル照射用のため、リレーレンズなどの光学部品を一体化したKTN光走査ユニットを開発した。このKTN光走査ユニットはフードを備えた小型・安定なユニットであり、目標を達成できたと思われる。今後、連携企業と協力してOCT測定装置のプロトタイプ機器の試作を検討中である。 3.初期変形性関節症のOCT画像診断への応用:動物実験モデルを用いて骨・軟骨病変の断層像取得を行うことができた。マウス変形性膝関節症モデルを用いてOCTイメージを取得した。OCTイメージから正常部と異常部位の差異の定量的解析を行った。OCT画像の解析ソフトを開発し、これにより関心領域(ROI)を設けてOCT画像におけるBitmap形式からCVS形式に変換し、OCT値として定量的に評価することができた。初期変形性関節症の変化の一つである軟骨組織の最表層の変性をOCTで確認することができた。更に軟骨組織の筋繊維組織の配向にも着目して、光偏光特性をOCTでイメージングする予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
1.世界最高速の光偏向方式OCTの開発:本研究で開発する光偏向方式OCT干渉光学系にAO光変調器を導入し、ヘテロダイン検出を行う。これにより、干渉信号のS/N比を向上させる。ガルバノミラー周波数を向上し、1000fpsの高速化を図る。 2.KTN光走査ユニットの試作と実用装置展開:OCTシステムのサンプル照射用のため、リレーレンズなどの光学部品を一体化したKTN光走査ユニットを開発した。OCT干渉計並びにKTN駆動電源をラックに配備し、可搬型OCT装置のプロトタイプ機器の試作を検討する。 3.初期変形性関節症のOCT画像診断への応用:マウス変形性膝関節症モデルを用いてOCTイメージを取得し、OCTイメージから正常部と異常部位の差異の定量的解析を行った。OCT画像の解析ソフトを開発し、ROIを設けてOCT画像におけるBitmap形式からCVS形式に変換し、OCT値として定量的に評価している。今後は筋繊維組織の配向にも着目して、光偏光特性をOCTでイメージングして評価する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品費に関しては購入予定物品の購入の際の値引き等の影響であると考えられる。 旅費に関しては研究出張の予定の変更や他の資金での旅費の使用等の影響であると考えられる。 本年度は購入物品及び研究旅費の予定を詳細に検討し、使用する予定である。
|