1.世界最高速の光偏向方式OCTの開発:本研究では、KTN光偏向器による超高速タイムドメイン方式のEn face OCTを構築した。OCT干渉光学系は光源にSLD光を用いたマッハツェンダー型干渉計である。参照光アームはステップモータを取り付けた可動ミラーで構成した。サンプル光にはKTN光偏向器を用い、200kHzの三角波電圧を印加することでKTN光偏向器が動作し、入射光をy軸方向に走査した。これと同期させてガルバノミラーに三角波電圧を印加して駆動させ、光をx軸方向に走査させx-y平面をビームスキャンする。このEn face 2次元OCT画像を800フレーム/秒(fps)の速さで取得できた。この速度は世界最高速のタイムドメイン方式のEn face OCTである。 2.KTN光走査ユニットの試作と実用装置展開:OCTシステムのサンプル照射用のため、リレーレンズなどの光学部品を一体化したKTN光走査ユニットを開発した。KTN結晶は、紫外線に影響を受けやすいためにフードを備え、更にKTN光偏向器は熱レンズ効果補償用のシリンドリカルレンズと共に一体化した。本システムは連携企業と協力して、光走査ユニットを装備したOCT測定器を可搬型システムとして構成し、OCT装置の実用化を進めている。 3.初期変形性関節症のOCT画像診断への応用:マウス変形性膝関節症モデルを用いてOCTイメージを取得した。OCTイメージから正常部と異常部位の差異の定量的画像解析を行った。OCT画像の解析ソフトを開発し、これにより関心領域(ROI)を設けてOCT画像におけるBitmap形式からCVS形式に変換し、OCT測定値として定量的に評価した。OCTを取得したサンプル組織の組織学的な初見とOCT画像との比較を行った。
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