漏斗胸の発生頻度は高く、500人に1人である。本邦においても毎年、多くの施設で手術が行われている。しかし症例によっては必ずしも良好な結果は得られない。漏斗胸は前胸部の変形疾患であるが、胸部と背部は文字通り表裏一体であるので、一定頻度の患者においては脊椎の側弯を併発している。こうした患者に対して通常の方法で手術を行うと、脊椎の側弯が悪化することがある。この事実について症例報告が散見されるが、広く外科医の知るところには至っていない。本研究の施行はこの問題点を明示化し、合併症の回避を啓蒙する点と、それを回避する方法を示唆した点で、意義を有する。
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