研究課題
本研究は、高感度な磁気センサを体表面に装着し、ウエアラブルな生体磁気計測システムを実現する際に障壁となる2つの問題の解決、すなわち、1.磁気センサ自体が地磁気中で揺れることによる揺動ノイズの軽減と、2.磁場源解析のための磁気センサと体表面の相対位置の動的検知を目的とした要素技術の開発を行うことであった。研究期間中に新型コロナの感染拡大により研究活動が遅滞し、また、世界的な電子部品不足の影響を受けて、当初計画していた多チャンネルのフラックスゲートセンサシステムが完成できなかったが、上記に即した一定の研究成果を得ることができた。最終年度は前年度に試作した短冊型の室温磁気センサアレイをゲルクッションにて体表面に固定し、既設の脊磁計を併用した筋肉誘発磁場の同時測定を行ない、これに成功した。信号波形の基線の揺らぎを後処理で低減する適応基線補正法を提案し、揺動ノイズの低減に適用可能であることを示した。また、室温磁気センサでは、フラックスコンセントレータを搭載して感度向上を図る場合が多いが、そのような場合に適用可能な感度領域モデルの提案を行った。研究期間全体を通じて実施した研究の成果としては、デジタルデータ収録の分解能向上による地磁気下でも生体からの微弱な磁場を検出可能なダイナミックレンジの実現、感度領域モデルを考慮した室温磁気センサの感度位置キャリブレーション法の確立、磁気センサと被験者の相対位置のリアルタイム位置検出を実現するための新しいマーカーコイルの開発、ウエアラブル生体磁気センサアレイの基本単位となる短冊型室温磁気センサアレイの試作開発、それを適用した室温センサによる心臓磁場、筋肉磁場の計測がある研究期間終了後も、本研究で確立した要素技術をもとに、短冊型室温磁気センサアレイの多重化やセンサ実装方法の開発など、引き続きウエアラブル生体磁気計測システムの研究開発を進める。
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