研究課題/領域番号 |
18K12045
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
横田 淳司 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10449564)
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研究分担者 |
岩崎 泰彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90280990)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症 / マウス / 卵巣摘出 / 薬物療法 / ポリリン酸エステル |
研究実績の概要 |
本邦では骨粗鬆患者の約8割が未治療とされており、治療普及率の低さが問題となっている。我々は、関西大学で合成されたin vitroで破骨細胞の機能を特異的に阻害するポリリン酸エステルPEP・Naが、in vivoでも骨組織に長期に渡り蓄積することを見出した。本研究の目的は、PEP・Naを卵巣摘出マウスに投与し、PEP・Na投与がマウスの骨密度・骨強度に与える影響を検討し、PEP・Naが既存の骨粗鬆症治療薬より高い安全性と骨折予防効果を有するかを明らかにすることである。 予備実験の結果、安全性の見地よりPEP・Naの投与濃度を10mg/mlに設定し、投与のタイミングを卵巣摘出後4週とした。また、CTを用いて生体の経時的な骨密度測定が可能となった。一方で、バイオイメージング評価で必要となる、ゾレドロン酸への蛍光色素ラベリングが技術的に困難であったため、P群、S群の2群に対して投与後2週おきにバイオイメージングによる薬物動態評価を、P群、S群、sham群の3群(N=各14)に対し投与直前および4,8,12週後にCTによる骨密度評価を行うことし、現在、投与8週までのデータが揃っている。P群では投与8週後でも大腿骨、脛骨で集積を認めた。骨密度は、卵巣摘出後4週で、実験群はsham群より有意な骨密度の低下を認めたが投与後8週では、大腿骨遠位骨幹端でP群はS群より骨密度が有意に高くなっていた。以上よりPEP・Naは単回投与でも長期間骨に沈着し、破骨細胞の作用を抑制することで骨密度低下を抑制しうると考えられたが、投与濃度、評価部位など今後も検討が必要と思われる。本年度中に投与12週時の骨密度評価と、摘出標本の力学試験を完了する予定である。次年度は投与濃度、評価部位などさらに検討を加え、得られた結果を学会発表、論文執筆につなげる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度1年間の実験結果より、新規ポリリン酸エステルPEP・Naの単回投与が卵巣摘出マウスの大腿骨密度を改善しうることを見出せた。一方、投与濃度、評価部位などについては、次年度の実験で検討が必要と思われた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はPEP・Na投与12週時の骨密度、骨強度評価と、PEP・Naの複数回投与が卵巣摘出マウスの大腿骨密度を改善するかにつき調べる予定である。また、これまで大腿骨など長管骨の解析を行ってきたが、次年度は脊椎の骨密度評価も試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた外部委託によるマイクロCTによる解析を、本年度は本学所有の動物用CTによる生体の経時的観察に変更したため、その他に計上していた経費は使用しなかった、また情報収集目的に学会出張費を計上していたが参加できず経費を使用しなかったため。 次年度は本年度行わなかった外部委託によるマイクロCTによる解析を予定しており、次年度使用額はその費用に充てる予定である。
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