研究実績の概要 |
本年度は、8週齢雌ICRマウスに両側卵巣摘出術(OVX群: n=26)群と擬似手術(C群: n=11)を行い、さらにOVX群はPEP・Na投与群(P群, n=12)とPBS投与群(S群, n=14)に分け、ポリリン酸エステルPEP・Na(10mg/dl, 0.1ml)及びPBS(0.1ml)を12週齢より4週毎に計3回尾静脈より投与した。麻酔下にμCT (Latheta LCT-200, 日立アロカ, 48μm/slice)を用いて、4週毎に計4回(8週齢・12週齢・16週齢・24週齢)計測し、大腿骨遠位部で膝関節面より2mmを始点とし、近位30 sliceにおける海綿骨密度を評価した。OVX効果を評価するため8週齢を基準とし12週齢まではOVX群とC群に対して、また薬剤投与効果を評価するため12週齢を基準とし16週齢・24週齢まではP群とS群に対して、海綿骨密度の変化率を算出し比較した。またポリマーの毒性を評価するため、24週齢時に採血を施行し、血清Ca,BUN,AST,ALT,クレアチニンを測定した。 その結果、8週齢から12週齢においてOVX群はC群より海綿骨密度は有意に低下していた(OVX群:-18.2%, C群:-3.1%, p<0.0001)。12週齢から16週齢においてP群はS群よりも海綿骨密度の低下が有意に小さく(P群:-0.9%, S群:-7.7%, p=0.0075)、最終24週齢においても同様の効果が持続していた(P群:+0%, S群:-9.0%, p=0.0206)。血清生化学的にも肝機能、腎機能は正常でPEP・Naの毒性は低いことを見出した. PEP・Na投与は卵巣摘出マウスの大腿骨遠位部海綿骨密度の減少を抑制していた。これよりPEP・Naが新規骨粗鬆症治療薬になり得る可能性が示された。
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