研究課題/領域番号 |
18K12050
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
半田 康延 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (00111790)
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研究分担者 |
関 和則 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (20206618) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | T1棘突起仙骨間電気刺激 / 歩行機能 / 歩行障害者 / 足こぎ車いす駆動能力 / 上下肢協調運動 |
研究実績の概要 |
2019年度は、2018年度のpilot studyをベースにして、健常被験者では症例数を増やし、統計学的な処理を行った。また、脊髄小脳変性症患者では3か月間の第11胸椎棘突起と仙骨間の電気刺激(T-SES)で長期効果を調べた。健常被験者では「刺激なし」「T-SES」「仙骨表面電気刺激:SES」 「第11胸椎棘突起刺激:T11」での10m最大歩行速度を12名で測定した。これをTwo-way ANOVAで解析したところ、有意にT-SESでの10m最大歩行速度が大きいことが判明した(p<0.05)また、2名の脊髄小脳変性患者において、週2回のT-SES訓練を続けた。その結果、Timed up & go(TUG)テストでは、所要時間が短縮し、かつ歩行の不安定性が少なくなり歩容も改善するのが認められた。1名の患者は、自覚的には、歩行が安定し多少長距離でも歩きやすくなったと感じている。もう1名も歩きやすくなったと述べている。これについては、現在画像解析を行い、歩行能力や動的バランス、敏捷性についてさらに調べているところである。 これらの結果を踏まえて、脳卒中患者や脊髄損傷患者などの歩行障害者で研究を行う予定であったが(一部は開始し始めたが)、まず最初にインフルエンザの流行でリハビリテーション室が患者に対し閉鎖され、さらにコロナウイルス問題で閉鎖期間が延長される事態となったため、患者を被験者とした研究が行われない状況となっている。リハビリテーション室が解放され次第研究を再開する予定である。ただし、この間、全身の動作を記録解析するmotion capture system(Axis Neuron pro)の動作確認を健常被験者で行い、歩行障害者にも適用できることを確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
概要で述べたように、健常被験者では歩行速度の解析は順調に行えた。また、患者への応用研究は、少数ではあるが2名の被験者で長期効果を調べることができた。しかし、さらに健常者での足こぎ車いす走行の研究、および歩行障害者を被験者とした歩行および足こぎ車いす走行に関する研究は、インフルエンザの流行とコロナウイルス問題で、実験室でもあるリハビリテーション室の閉鎖によって延長を余儀なくされている状況である。閉鎖が解かれ次第再開する予定であるが、今のところいつになるか不明の状態である。
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今後の研究の推進方策 |
実験室であるリハビリテーション室が解放され次第研究を再開する。ヒトにおける研究が不可能な時期に、motion captureの動作確認を行ったので、刺激なし、T-SES、SES、T11刺激での歩行・歩容、足こぎ車いす走行での身体動作を健常被験者、各種歩行障害者で調べる。健常被験者では、歩行時に上記各刺激を与えた際の下肢関節運動の特徴抽出を行うとともに、上肢運動との協調性についても解析する。足こぎ車いす走行でも各刺激下での下肢関節運動を解析する。歩行障害者を被験者とする場合には、その原因疾患とその被験者数については予測困難であるが、脳卒中片麻痺者、パーキンソン病患者、脊髄小脳変性症患者、脊髄損傷不全麻痺者などで、その歩行動態、足こぎ車いす走行時の両下肢ペダル漕ぎ運動の特徴抽出を行う。これらの実験結果に基づいて、T-SESの作用機序について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を効率的に進める事が出来た為、残額が発生した。この残額は、次年度研究を進める為の消耗品に当てる。
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