研究課題
膵癌は豊富な線維性間質(がん関連線維芽細胞:cancer-associated fibroblast:CAF)を有し、「硬い」腫瘍と認識され、一方で癌細胞は硬い組織環境下において更に悪性度を増すとの報告も認め、膵癌およびその周囲組織の硬度と膵癌細胞の悪性度及び進行度に密接に関連している可能性がある。本研究課題において我々は、膵癌における「硬度」情報と膵癌の生物学的悪性度、分子生物学的特徴との関連を解明すべく研究を行った。1)膵癌切除例における術前膵癌組織硬度と病理学的所見、臨床経過と関連性超音波内視鏡下エラストグラフィ(Shear wave elastography法、Strain elastography法)を用い膵充実性腫瘍に対する組織硬度計測を行った。組織学的診断の得られた症例に対し、組織硬度と病理学的診断、組織所見の対比を行い、Strain elastography画像にヒストグラム解析を行い半定量化することで、膵疾患を病理診断ごとに層別化できることを解明した(論文報告)。2)膵癌組織硬度に関連する分子生物学的因子の解析膵癌の術前硬度が切除後の膵癌患者の予後と相関することを解明し、それらが腫瘍中のCAFの形質により異なることを示した(学会報告)。切除組織に対して免疫染色(癌抑制性CAF:メフリン、癌促進性CAF:αSMA)を行い、術前画像にて高硬度を示した膵癌と、低硬度の膵癌において、線維化の程度及びメフリン陽性CAFの比率が異なった。現在膵癌組織硬度に関連する癌組織およびCAFにおける遺伝子mutationの検出のため膵癌病理組織標本よりLaser microdissection法にてがん組織を切り出しDNAを抽出し、次世代シークエンサーによる解析を予定している(実験進行中)。
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Digestive Endoscopy
巻: - ページ: -
10.1111/den.13791
Journal of Medical Ultrasonics
巻: 47 ページ: 575~581
10.1007/s10396-020-01033-7