研究課題
ブタは生理学的および解剖学にヒトに類似していることから、モデル動物として臓器移植、再生医療、医学的トレーニング、医療機器・医薬品開発など広く使用されている。ただし成豚時体重が100kgを超えるため、多くの研究機関における実験動物施設での取扱には高いハードルがある。本研究は、マイクロミニサイズの免疫不全ブタの創出により、ブタを利用した幹細胞の治療効果評価などを可能にすることを目指した。方法として、超小型実験用ブタであるマイクロミニブタ由来の精子を体外受精に用いること、および体外受精卵においてゲノム編集により成長ホルモン受容体(GHR)ノックアウトによる超小型化と、インターロイキン2受容体γ鎖(IL2RG)ノックアウトによる免疫不全化を導入することにより免疫不全超小型ブタ作出を目指した。まず標的遺伝子であるIL2RGおよびGHRに対するgRNAをin vitroにて検討し、その結果、それぞれの標的遺伝子に高い効率で変異導入可能なgRNAを決定した。さらに、ブタ体外受精胚におけるIL2RGノックアウトおよびその胚移植手術を行った。胚移植手術後、妊娠、出産に成功し、2頭の仔豚の出産に至った。得られた仔豚の次世代シークエンス解析の結果、1頭についてIL2RG遺伝子へのモザイク変異導入が確認できた。さらにF0モザイクブタと野生型ブタの交配によりF1を作製し、そのシークエンス解析の結果、F1世代に変異が伝達されることを確認した。さらに、IL2RGとGHRのダブルノックアウトを目指し、複数の標的遺伝子に対するgRNAを組み合わせて使用した場合の変異導入率を検討し、2つの標的遺伝子に対し最も効率の高いgRNAの組み合わせを明らかにした。本研究内容にて、雄のマイクロミニブタ3頭より精液を採取し、体外受精条件の検討を行った結果、高い胚発生率を得ることが可能な体外受精条件の確立にも成功している。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件)
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