• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

核酸クリップナノゲルのシャペロン機能

研究課題

研究課題/領域番号 18K12077
研究機関京都大学

研究代表者

澤田 晋一  京都大学, 工学研究科, 助教 (50444104)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード自己組織化 / 核酸 / 刺激応答性 / ナノゲル / タンパク質 / シャペロン
研究実績の概要

申請者がこれまでに研究を進めてきたオリゴ核酸置換多糖ナノゲル(核酸クリップナノゲル)のさらなる機能化とその基礎物性の解析および生体高分子(タンパク質、核酸等)との相互作用について基礎的な知見を得るとともに、生体高分子の構造、機能を制御し得る核酸クリップナノゲルの構築を進める。2020年度は、前年度までに行ってきた蛍光分子修飾オリゴ核酸置換多糖の合成およびその特性解析をもとに、蛍光分子修飾オリゴ核酸置換多糖ナノゲルのオリゴ核酸配列と相補的な配列を有する蛍光分子標識オリゴ核酸をモデルとしてナノゲルとの相互作用について検討を行った。また、10mer以下の短鎖オリゴ核酸同士での安定な二重鎖を実現するために本研究で用いているオリゴ核酸には部分的にグアニンおよびシトシンに人工核酸であるBNAを用いているがこれのホスホロアミダイトが高価であり、合成スケールアップの足枷となっていた。ごく最近になり、BNAと類似の架橋型人工核酸であるLNAのホスホロアミダイトが安価で手に入るようになり、本研究においてもBNAに代わるものとしてLNAを部分的に導入したオリゴ核酸の合成に着手した。一方で蛍光分子修飾オリゴ核酸置換プルランナノゲルと生体高分子(タンパク質、核酸)との相互作用について検討する予定であったが、2020年度年度前半は、新型コロナウィルスの流行に伴う所属機関の研究活動自粛および研究資材の入手困難などが重なり、研究計画が大幅に遅延したため、実施可能であった合成を主体とした研究を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は当初、蛍光分子修飾オリゴ核酸置換プルランナノゲルと生体高分子(タンパク質、核酸)との相互作用について検討する予定であったが、新型コロナウィルスの流行に伴う所属機関の研究活動自粛および研究資材の入手困難などが重なり、研究計画が大幅に遅延したため、実施可能であった合成を主体とした研究を進めた。具体的には昨年度までに設計、合成およびその会合挙動などの物性を進めてきた蛍光分子をオリゴ核酸置換プルランの会合因子であるオリゴ核酸に用いてきた架橋型人工核酸であるBNAを類似の構造を有する人工核酸であるLNAに変更し、同様の配列を有する末端アルキン化オリゴ核酸の合成を行なった。LNAを用いて従来と同じ合成条件、スケールにおいて合成を行ったところカップリング効率を下げる事なく合成し得ることが明らかとなった。LNAホスホロアミダイトは、ごく最近になり非常に安価に入手できるようになっており、今後LNAをBNAの代わりに用いることでオリゴ核酸置換プルラン合成のコストダウンとスケールアップが可能となる。また、従来型のBNAを用いたローダミン修飾オリゴ核酸置換プルランと、モデル分子としてフルオレセインを末端に修飾した相補配列を有するオリゴ核酸との相互作用を蛍光スペクトル測定より検討したところ、モデル分子とローダミン修飾オリゴ核酸置換プルランとの複合化によるFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)が確認された。

今後の研究の推進方策

2021年度からは2020年度に行う予定であった蛍光分子修飾オリゴ核酸置換プルランナノゲルと生体高分子(タンパク質、核酸)との相互作用について検討を行う。モデルタンパク質としては等電点の異なるタンパク質および酵素を選択して評価する。ナノゲルとタンパク質や核酸との相互作用の検討においてはナノゲルおよびタンパク質、核酸の構造変化にも着目し解析を行う。相互作用の検討は、蛍光分光計、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、電気泳動法、蛍光相関分光解析装置(FCS)、円二色性分散計(CD)等を適宜用いて行う。また、オリゴ核酸置換プルランと相補的な配列を有する末端アミノ化オリゴ核酸をモデルタンパク質に修飾したオリゴ核酸修飾タンパク質を作製し、これとオリゴ核酸置換プルランとの相互作用についても検討を行う。さらには、温度変化条件でのオリゴ核酸置換プルランナノゲルとタンパク質、核酸の相互作用についても検討を行い、温度応答性微粒子としての機能についても評価する。オリゴ核酸置換プルランナノゲルのシャペロン機能ついては酵素をモデルタンパク質としてその酵素活性を指標として評価する。

次年度使用額が生じた理由

(次年度使用額が生じた理由)
2020年度は新型コロナウィルスの流行によ李、所属機関および研究室での研究活動縮小、研究資材調達が困難などが生じ、研究計画に大幅な遅れが生じた為、2020年度に行う予定であった実験を次年度に行うこととした。
(次年度使用計画)
まず、実験資材調達の遅れにより生じていたオリゴ核酸置換多糖の合成を行うとともに、タンパク質へのオリゴ核酸の修飾も進める。得られた合成物を用いたタンパク質との相互作用解析および、モデルタンパク質へのシャペロン機能評価を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 蛍光分子を導入したオリゴ核酸架橋多糖ナノゲルの設計と特性評価2020

    • 著者名/発表者名
      荒池友哉,澤田晋一,佐々木善浩,秋吉一成
    • 学会等名
      第69回高分子学会年次大会
  • [学会発表] 蛍光標識オリゴ核酸置換プルランを用いたナノゲルの設計と機能評価2020

    • 著者名/発表者名
      荒池友哉,澤田晋一,佐々木善浩,秋吉一成
    • 学会等名
      第69回高分子討論会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi