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2019 年度 実施状況報告書

癌微小環境を可視化する高感度MRIナノ造影剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K12079
研究機関九州大学

研究代表者

河野 喬仁  九州大学, 先端医療オープンイノベーションセンター, 特任助教 (90526831)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードMRI / 造影剤 / DDS / タンパク質カプセル
研究実績の概要

MRI (Magetic Resonance Imaging)は空間分解能と非侵襲という利点を持つ反面、疾患部位の検出感度が不利な点を有する。本研究ではMRI診断の精度と感度を向上させ、単なる形態診断法とし用いるのではくなく、疾患の機能診断を可能とする新しいMRIナノ造影剤の開発を目指した。そこでタンパク質ナノカプセルをMRI ナノ造影剤のベースとして様々に機能化し、分子標的により組織・細胞選択性の付与、MRI造影剤の内包を実現する。本年度はタンパク質ナノカプセルのサイズと緩和能の系統的な評価のため、カプセルのN末端に異なる疎水性アミノ酸を順次導入したサイズの異なるナノカプセル(1NHelix、2NHelix、3NHelix、4NHelix)を作製した。それぞれタンパク質ナノカプセルを大腸菌により大量発現し、アフィニティークロマトグラフィー・GPCにより分離・精製した。SDS-PAGEにより、目的の4種類の組換えタンパクを得た。それぞれ粒径測定を行うと、平均粒径は16.5 nm、20.0 nm、30.1 nm、37.1 nmであり、単分散なナノカプセルであった。次に1.5 T MRIを用いて緩和能の測定を行った。造影剤Gd-DTPAはカプセル内側のシステインに結合させ、ICP-MSにより結合させたGd濃度を求めた。緩和能を測定したところ、サイズが増大するにつれ、緩和能の向上が見られた。特に4NHelixはおよそ40 nmのサイズで、通常の造影剤Gd-DTPAの10倍以上の造影効果を示した。これはタンパク質ナノカプセルのサイズや分子量、疎水性アミノ酸を導入したことによるカプセルの剛直性の増大による回転相関時間の短縮によるものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

癌特異的なMRIナノ造影剤のためのキャリア開発において重要なMRシグナル増強のシステムを組み込むことに成功した。詳細なカプセル内部への造影剤の内包条件や造影剤の種類、メカニズムの解明についても基礎検討を実施している。

今後の研究の推進方策

現在、in vitroでの評価にとどまっているが、今後、in vivoの系において担癌マウスや自然発生モデルを利用して特異性の高いタンパク質ナノカプセルを設計・発現し、高感度な癌検出造影剤を開発する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初計画では、膵癌特異的タンパク質ナノカプセル作製のための試薬や機器、実験動物の消耗品費を計上していたが、研究者が現有する材料だけを用いて研究を推進することができたため次年度使用額が生じた。今後はin vivoにおける性能向上・妥当性評価を行う予定であるため、差額分を含めて実験動物等の消耗品費として研究費を使用する。また,海外および国内の研究成果発表のための旅費として研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Effect of Fetal Bovine Serum Concentration on Lysophosphatidylcholine-mediated Proliferation and Apoptosis of Human Aortic Smooth Muscle Cells2020

    • 著者名/発表者名
      Asai Daisuke、Kawano Takahito、Murata Masaharu、Nakashima Hideki、Toita Riki、Kang Jeong-Hun
    • 雑誌名

      Journal of Oleo Science

      巻: 69 ページ: 255~260

    • DOI

      10.5650/jos.ess19268

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A high-affinity peptide substrate for G protein-coupled receptor kinase 2 (GRK2)2019

    • 著者名/発表者名
      Asai Daisuke、Murata Masaharu、Toita Riki、Kawano Takahito、Nakashima Hideki、Kang Jeong-Hun
    • 雑誌名

      Amino Acids

      巻: 51 ページ: 973~976

    • DOI

      https://doi.org/10.1007/s00726-019-02735-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Suppression of Lysophosphatidylcholine‐Induced Human Aortic Smooth Muscle Cell Calcification by Protein Kinase A Inhibition2019

    • 著者名/発表者名
      Toita Riki、Asai Daisuke、Otani Kentaro、Kawano Takahito、Murata Masaharu、Kang Jeong‐Hun
    • 雑誌名

      Lipids

      巻: 54 ページ: 465~470

    • DOI

      https://doi.org/10.1002/lipd.12178

    • 査読あり
  • [学会発表] 河野 喬仁・楢原 佐由子・大内田 研宙・赤星朋比古・村田 正治2019

    • 著者名/発表者名
      タンパク質ナノカプセルを用いた高感度MRIプローブの開発
    • 学会等名
      第25回癌治療増感研究会

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公開日: 2021-01-27  

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