MRI (Magetic Resonance Imaging)は空間分解能と非侵襲という利点を持つ反面、疾患部位の検出感度が不利な点を有する。本研究ではMRI診断の精度と感度を向 上させ、単なる形態診断法とし用いるのではくなく、疾患の機能診断を可能とする新しいMRIナノ造影剤の開発を目指した。そこでタンパク質ナノカプセルをMRI ナノ造影剤のベースとして様々に機能化し、分子標的により組織・細胞選択性の付与、MRI造影剤の内包を実現する。本年度はタンパク質ナノカプセルの物理的特性と担癌マウスにおける体内動態評価を行った。タンパク質ナノカプセルはHsp16.5タンパク質サブユニットをコードする発現ベクターにより構築し、組換えタンパク質を大腸菌で発現させた。目的のタンパク質は、イオン交換クロマトグラフィーとサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて精製した。MALDI-TOF-MSとSECによる分析の結果、十分な純度の単分散なナノカプセルが得られ、血清中でも安定に存在していたことが確認された。AsPC-1膵臓がん細胞を移植したマウスを用いて,in vivo蛍光イメージングによりナノカプセルの体内動態を評価した。静脈内注射直後、ナノカプセルはシグナル強度が腫瘍内で3時間後に上昇し、6時間後には十分な腫瘍特異性を維持していた。最後に膵癌を自然発生したマウスに対して、ナノカプセルを投与し体内動態評価を行った。担癌マウス同様に急速な腎排泄も見られ、腫瘍部位へのナノカプセルの蓄積が見られた。
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