研究課題
生体親和性高分子/水界面では高分子と水のミクロ相分離による微細構造が形成していて、その微細構造が生体親和性高分子の機能発現に大きく関与していることが研究代表者のこれまでの研究から分かっている。本研究ではその微細構造発現を理論的に予測し、機能制御に繋げるために、正確な理論モデルの構築を目的としている。具体的にはこれまでに提唱されている「ナノプレートモデル」を基盤とし、さらに微細構造のサイズや分布の予測を可能にする新理論モデルの構築を目指している。そのためにまずは微細構造がどのような要因によってどのように変化するかを実験的に検証する必要がある。前年度までに高分子の分子量、疎水性がどのように微細構造に影響するかを検討、報告した。本年度はさらに界面における高分子の密度の影響を検討した。界面における高分子密度を自在に制御するために、基板表面に高分子末端を固定した高分子グラフト基板を作製した。密度を0 - 0.13 chains/nm2の範囲で変化させた際の界面構造の変化を原子間力顕微鏡により観察した。さらにその際の界面構造とタンパク質吸着挙動の関係を水晶振動子マイクロバランスを利用して調べた。界面構造を通して生体親和性を制御するための重要な知見が得られ、その成果は学術雑誌"Colloids and Surfaces B: Biointerfaces"で報告している。研究機関全体を通じて、当初目的に沿って界面の微細構造を実験的に制御することに成功した。その結果を用いた新理論モデルの構築には現在も取り組んでいるが、本研究の目的に沿った多くの成果を得ることができたと言える。
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Colloids and Surfaces B: Biointerfaces
巻: 199 ページ: 111517~111517
10.1016/j.colsurfb.2020.111517