研究課題/領域番号 |
18K12091
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
戸井田 力 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40611554)
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研究分担者 |
姜 貞勲 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (50423512)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マクロファージ / ナノメディシン / 再生医療 |
研究実績の概要 |
近年、組織修復における炎症の重要性が明らかになった。しかし、これまで生体材料研究では炎症を考慮した材料設計がされてこなかった。本研究では、炎症の慢性化と組織修復とのスイッチングで重要な役割を担うマクロファージに着目し、炎症性のM1型マクロファージを組織修復性のM2型マクロファージに機能変換することで組織再生を促進する技術開発を目的とする。本年度は、マクロファージの表現型をM1型からM2型に制御するナノメディシンを設計し、若齢、高齢マウス由来マクロファージに対する生物学的な効果、マウス褥瘡モデルに対する治療効果を検索した。高齢マウス由来マクロファージは若齢マウス由来マクロファージと比較して、炎症性サイトカイン産生量が多く、マイクロ粒子の貪食活性が低かった。マイクロ粒子と同様に、設計したナノメディシン(直径70~400 nm)の貪食もサイズによらず高齢マウス由来マクロファージで低かった。一方、興味深いことに、ナノメディシンの抗炎症効果は、両者でほぼ同等かサイズが小さい方が高い傾向があった。マウスに磁石で皮膚虚血再灌流を施し褥瘡モデルを作製した。若齢マウスと比較して、高齢マウスでは褥瘡の初期サイズは同レベルであったが、治癒期間が有意に長かった。本ナノメディシンを投与すると、褥瘡の初期サイズが半減するとともに、皮膚の治癒期間も短縮した。以上より、本ナノメディシンは皮膚再生治療に有効である可能性がある。現在、作用機序の解明を目的にマクロファージ表現型の調査や幹細胞応答などを調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り研究が進展した。
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今後の研究の推進方策 |
ナノメディシンが皮膚再生にに有効であることが分かったため、マクロファージ表現型や幹細胞応答を調査しメカニズム解析を行う。
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