研究課題/領域番号 |
18K12096
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野村 行弘 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (60436491)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 医用画像 / 診断支援システム / 機械学習 / ラベル |
研究実績の概要 |
2018年度は以下の4項目について実施した。 (1)病変位置・サイズより推定した球状領域が病変形状ラベルとして利用可能かどうかを、2種類の病変自動検出ソフトウェア(頭部MRA画像の脳動脈瘤検出、胸部CT画像の肺結節検出)を対象に検討した。球状領域および医師のペイント入力による病変形状ラベルについて、病変の定義に要する時間および同一の性能を得るのに必要な学習症例数で比較した結果、脳動脈瘤のように病変形状がシンプルであれば球状領域が医師の入力による病変形状ラベルの代用となり得ることが示された。この成果はJapanese Journal of Radiology誌に掲載された。 (2)放射線治療における線量分布データが病変形状ラベルとして利用可能かどうかを検討するために、転移性脳腫瘍に対するガンマナイフ治療で用いられた計画用頭部造影MR画像および線量分布データを用いて転移性脳腫瘍自動検出ソフトウェアを構築した。構築したソフトウェアの病変検出性能は最新文献の結果より少し劣るものの、線量分布データが病変形状ラベルの代用となり得ることが示された。 (3)円形領域で定義した病変形状ラベルを用いた胸部X線写真の肺腫瘤自動検出について初期的検討を行った。検討の範囲内では円形領域が有用である可能性が示されたが、症例数を増やしてさらなる検討を行う必要がある。 (4)ディープラーニングを含む機械学習を用いた半自動セグメンテーション手法による病変形状ラベル推定手法構築について着手するにあたり、申請者所属施設で蓄積していた複数の疾患の画像データおよび病変形状データを新たなwebベースの画像データベース(CIRCUS DB)に登録し、新たなデータとして胸部MR画像の肺結節症例の収集準備を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病変位置・サイズより推定した球状・円形領域、ならびに放射線治療における線量分布データが病変自動検出のラベルデータとして医師のペイント入力による病変形状ラベルの代用になり得るかについて複数の病変自動検出を対象に検討を進めることができ、おおむね順調に進捗している。また、次の段階である機械学習を用いた半自動セグメンテーション手法による病変形状ラベル推定手法の研究準備を進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は円形領域で定義した病変形状ラベルを用いた胸部X線写真の肺腫瘤自動検出についてさらなる検討を進めるともに、機械学習を用いた半自動セグメンテーション手法による病変形状ラベル推定手法について検討を進める予定である。さらに、病変の存在のみが既知な症例を用いた病変自動検出の性能改善方法についても検討を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、採択が決定した国際会議(CARS 2019)の参加費および旅費支払を見込んだものである。次年度は各種データ保存用の大容量ハードディスク等の物品購入、成果発表に必要な国内外の学会参加のための旅費、学会参加費、英文校閲費、投稿料などに使用する予定である。
|