研究課題/領域番号 |
18K12098
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大門 雅夫 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80343094)
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研究分担者 |
中尾 倫子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30597216)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 心機能 / 画像診断 / 右心室 |
研究実績の概要 |
本研究では、右室生検病理のデジタル画像から、画像処理ソフトウェアを用いて心筋線維化ならびに心筋繊維走行異常の重症度について自動数値化による定量評価を行う。その結果を、心エコーによる右室収縮能指標と比較することで、心エコー右心機能指標の病理的な裏付けを明らかにし、今後の右心不全の治療法開発あるいは的確な治療戦略の基盤を確立とすることを目的とする。 現在、当院にて心エコー検査と心筋生検を行った非虚血性拡張型心筋症(左室駆出率40%未満)をリストアップし、そのデータを収集している。これまで、2012年12月~2017年12月までに検査を行った110例(平均年齢44±11歳、男性77例)の臨床データの収集が終了している。従来の心エコー指標に加え、2Dスペックルトラッキング法による右室長軸方向ストレイン解析を行った。右室全体のストレインRVGLSは-10.9±5.5%、右室自由壁ストレインRVfwSLは-13.7±6.8%と低下しており、右室収縮能が低下していることが明らかとなった。また、右室収縮能は後負荷の影響を受けやすいことから、より本質的な右室収縮能RV-PC couplingの指標として、これらの指標を推定右室圧で除したRV GLS/RVSPおよびRVfwLS/RVSPも求め、その値はそれぞれ-0.33(-0.55 - -0.19)、-0.45(-0.66 - -0.25)%/mmHgであった。110例のうち、42例に死亡あるいはLVAD(左室補助循環装置)装着の心イベントを認めた。現在、このリストを元にMasson-Trichrome染色を行った心筋組織の解析を進めている。心筋組織はデジタル画像を画像処理ソフトウェアWinRoofで2色化処理し、線維化の程度を定量している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
必要なソフトの購入や研究体制は構築済みであり、症例のリクルートも順調に進んでいる。今後病理組織の解析が進めば、予定通り研究結果が得られると見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、虚血性拡張型症例の登録を増やし、心筋ストレインと心筋線維化の関係について予定通り検討を進めていく。また、これまでの検討で、本研究に用いた手法が心アミロイドーシスの研究にも応用可能との着想を得た。現在、心筋生検を行った心アミロイドーシス症例のリクルートも併せて行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究結果をまとめることを優先し、海外学会発表を次年度に繰り上げたこと。 統計解析ソフトの購入を次年度に行うことにしたこと。 受理された論文掲載料の請求が次年度になったこと。 これらの予算を次年度として使用する予定。
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備考 |
東京大学医学部附属病院循環器内科 心エコー室
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