研究課題
本研究では、右室生検病理のデジタル画像から、画像処理ソフトウェアを用いて心筋線維化ならびに心筋繊維走行異常の重症度について自動数値化による定量評価を行う。その結果を、2Dスペックルトラッキング法を含めた心エコーによる右室収縮能指標と比較することで、心エコー右心機能指標の病理的な裏付けを明らかにし、今後の右心不全の治療法開発や治療戦略の基盤を確立とすることを目的としている。現在、当院にて心エコー検査と心筋生検を行った非虚血性拡張型心筋症(左室駆出率40%未満)110例をリストアップし、その臨床データを収集した。そのうち、32例の病理検体と心エコー指標解析が終了している。32例の年齢は41±12歳、男性25人(78%)であった。心エコーデータはLVEF20.6±7.6%、FAC25.2±10.2%、TAPSE15.6±3.9mm、RVLS-13.1±6.8%、FAC/PASP0.96±0.54%/mmHg、TAPSE/PASP0.56±0.27mm/mmHg、RVLS/PASP-0.51±0.36%/mmHg、線維化率(線維化の面積/組織全体の面積)22±16%であった。これまでの症例で、線維化率と単独右心機能、線維化率とRV-PA coupling指標(右心機能/PASP)の相関について検討したが、単独右心機能、RV-PA coupling指標ともに心筋生検検体における線維化率と有意な相関を認めなかった。仮設通りの結果にならなかった理由として心筋生検の際に右室ではなく、心室中隔の検体を使用していることが理由として考えられる。また、病理検体を見直すと心筋に加えて心内膜部分を多く含んだ検体では線維化成分が多くなる傾向があった。今後は、病理検体における線維化評価について方法を再検討する予定である。
3: やや遅れている
必要なソフトの購入や研究体制は構築済みであり、症例のリクルートも順調に進んでいる。一方で、これまでの解析結果は仮説通りにならなかった。症例数が不十分なことに加えて、病理検体における線維化評価法について改善が必要と考えており、今後方法論を修正した上で研究を進めていく予定である。
今後は、解析症例数登を増やし、心筋ストレインと心筋線維化の関係について予定通り検討を進めていく。また、本研究の応用で心アミロイドーシスの研究にも解析症例を広げて行く予定としている。
新型コロナの影響により学会が延期となり、学会発表が次年度に変更となったため、次年度の発表に使用する。
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