研究課題
本研究では、右室生検病理のデジタル画像から、画像処理ソフトウェアを用いて心筋線維化重症度について自動数値化による定量評価を行う。その結果を、2Dスペックルトラッキング法を含めた心エコーによる右室収縮能指標と比較することで、心エコー右心機能指標の病理的な裏付けを明らかにし、今後の右心不全の治療法開発の基盤を確立とすることを目的としている。当院にて心エコー検査と心筋生検を行った非虚血性拡張型心筋症(左室駆出率40%未満)109例の登録を行った。心イベントを死亡あるいはLVAD植込みと定義して予後を見たところ、41例で1年以内に心イベントを認めた。右心機能指標は左心機能とは独立した予後規定因子であったが、右室面積変化率FACと右室長軸ストレインRVLSを組み合わせると最も良い予後予測指標となり、両者が異常を示した場合の心イベントハザード比は11.3であった。また、この予後予測能はRV-PA coupling指標(右心機能/PASP)を用いても向上しなかった。この結果については現在英文誌に投稿し、revise中となっている。この109例にうち、31例で右室心筋生検を実施しており、線維化指標と右心機能指標の比較を行った。昨年度までの解析で仮説通りにならなかったことから、今年度は2~4の複数生検検体を用いて線維化の平均値を求めた。しかしながら、右室線維化率とそれぞれの右心機能指標(FAC、TAPSE、RVLS)との相関は、それぞれP=0.89、P=1.00、P=0.37であり、有意な相関は認めなかった。また、この相関はRV-PA couplingで補正しても有意とはならなかった。以上より、重要心不全例においてRVLSはFACと組み合わせことで有用な予後予測指標となるが、必ずしも右室線維化を反映しているとは言えない結果であった。
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