研究課題
本研究の目的は、既存の超音波装置への導入が簡便でかつ安価なプローブ位置情報検知機能を搭載したC-mode画像作成システムを開発し、従来の評価法では不十分な関節リウマチの疾患活動性をより適切に評価することで、関節リウマチ患者のQOL向上や医療資源の有効利用に貢献することにある。我々は既に、既存の超音波装置に容易に適応できる安価で簡便なシステムを試作している。磁気位置センサーを用いず、カメラの手ぶれ検知やゲームコントローラのモーション検知に使用されている比較的安価な「加速度センサー」を超音波プローブに設置する。その電圧信号をパソコンで受信することでプローブの向きの情報を採取する。その情報と装置内に保存された超音波シネ画像と同期させることでプローブの相対的位置情報が取得でき、超音波画像の3次元化が可能となる。試作機を作成した結果から、試作機で用いた安価なセンサーでも重力方向の位置情報(=探触子を煽る)が精度よく得られるものの、探触子を比較的ゆっくりと水平方向に動かした場合、水平方向の位置データは精度よく得ることが難しいことがわかった。関節リウマチの好発部位である手足指関節は走査範囲が小さいため、探触子を煽るだけで十分な範囲の走査が可能である。よって、試作システムをそのまま正常指関節に適応し、探触子を煽るだけで得られる位置情報に関する様々な検討を行っている。画像処理について、当初は断層像の画像を並べてボリュームデータ作成し、連続する2フレームでの組織の連続性を考慮して上下に微調整を加えた場合と加えなかった場合に比較のみを行う予定であったが、ダイナミックプログラミングを用いて組織パターンの複数プレームの連続性を考慮した手法も併せて試し検討を行っている最中である。
3: やや遅れている
1. システム構築に必要な、典型的な活動性の高い関節リウマチ症例になかなか遭遇しなかったため。2. 画像処理について、当初は断層像の画像を並べてボリュームデータ作成し、連続する2フレームでの組織の連続性を考慮して、上下に微調整を加えた場合と加えなかった場合に比較のみを行う予定であったが、ダイナミックプログラミングを用いて組織パターンの複数プレームの連続性を考慮した手法も併せて試し検討をおこなっているため。
上記の複数の画像処理法で得られた炎症滑膜内の新生血管のパワードプラC-mode像の評価をより多くの典型症例に適応することで最も有効と思われる処理方法を絞り込み、それを多くの様々な症例に適応することで臨床的有用性に繋げる。それがうまくいかない場合は、システムの基盤の変更を行う。つまり、より高精度のセンサーを用いて位置情報取得について、探触子の走査速度を考慮した検討を追加する予定である。
当該年度は、以前に試作したシステムでの検討に注力し、それがうまくいかない場合のシステムの基盤の変更を行わなかったため、物品費での支出が当初の予定より少なかったため。今後の検討結果ではシステムの基盤変更の必要が生じるため次年度への繰り越しを希望している。
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Int J Rheum Dis.
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10.1111/1756-185X.1391