研究課題/領域番号 |
18K12107
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
森田 実 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80510685)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 医用システム / 機械力学 / 設計 / 有限要素法解析 |
研究実績の概要 |
研究テーマ1“実際の血管を模擬した環境下における振動デバイスの特性評価と性能向上”に対して,ワイヤに逆位相振動を実装するための有限要素法解析と実験を行い,試作機の検討を続けている.逆位相振動がフレキシブル構造に適していることは先行研究でシミュレーションで確認できているが,加工難易度が高く実装に時間がかかっている.当該年度ではワイヤに実装する構造を加工しやすい構造に見直し,シミュレーションにより1mm径の単線に実装可能な逆位相振動型構造を設計した.今年度の研究において試作機への実装を目指す. また,研究テーマ2“治療デバイスの数理モデル確立および精密加工による最適設計”に対して,逆位相振動型超音波メスの発熱性能を評価するため,有限要素法による発熱と構造の連成解析法を確立した.これは研究課題の目的である“高出力化を目指した最適設計法を確立する”ことに繋がるものである.本結果は血管内治療に関する国際学術論文として投稿し,2021年3月にBioMed Research Internationalに掲載された. さらに,研究テーマ3“微細振動による新生血管の成長を阻害するメカニズムの解明”について,牛の冠動脈の血管内膜を用いた凝固性能実験を行った.実験では本テーマで提案した逆位相振動型の超音波メスを用いて,血管にタンパク質変性を発生させ凝固によるシールが可能であることが分かった.また,従来の縦振動型の超音波メスに比べて凝固によるシール性能が上がることが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
逆位相振動を有し,血管を凝固可能な超音波メスを設計・制作し,実験システムまで構築できている.また,凝固性能に直結する発熱性能を評価するための有限要素法モデルを提案し,期待した成果を得ることができている.
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今後の研究の推進方策 |
逆位相振動の構造を柔軟形状への実装するにあたり,これまで何度か試作しているが安定して励起する構造が未だ完成していない.設計の制限を問題ない程度に拡張し,再設計ののち再度施策する.また,血管凝固性能の評価が可能となったため,超音波の照射方法と血管凝固性能の関係を明らかにするための実験を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では2020年度は研究成果を外部に公表することに予算を使用する計画であったが,新型コロナウィルスの影響で国際会議への参加が中止となった.また,当初計画していた柔軟化への適用が遅れており,試作に関わる予算の使用が減っている. 今年度は柔軟化の再設計を行うための試作費および,評価のための装置の購入,学術論文投稿費に使用する計画である.
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