研究課題/領域番号 |
18K12108
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
舛形 尚 香川大学, 医学部附属病院, 教授 (70263910)
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研究分担者 |
千田 彰一 香川大学, 医学部, 名誉教授 (30145049)
南野 哲男 香川大学, 医学部, 教授 (30379234)
村上 和司 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (60575207)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 医療安全 / 心エコー |
研究実績の概要 |
超高齢化社会を迎え,転倒や診断の遅れを避けるという患者安全のために心エコーは座位で行うほうが望ましい場合がある。また実臨床では、臥位になれない緊急患者も多い。したがって座位のまま心エコーを行う必要性は高い。しかし座位と臥位での心エコー測定値の差異は明らかにはされていないため,座位での心エコー検査は一般的には認められにくいのが現状である。そこで本研究では心エコー検査の臥位と座位での計測値を比較した。外来通院中の心疾患既往のない高血圧などの生活習慣病患者28例(非心疾患群)と種々の心疾患による慢性心不全患者10例(心疾患群)を対象とした。まず,座位でMモード法を用いて大動脈径,左房径,左室径,左室駆出率を計測し,パルスドプラ法を用いて左室流入速度波形のE波高,A波高,E/A比を計測した。その後,下大静脈最大径をBモード法で計測した。ベッド上臥位として1分経過後から上記の指標計測を再度行った。座位と臥位での心エコー計測値を比較した。両群ともに,座位に比較して臥位では,下大静脈径(非心疾患群15±4→11±4mm,心疾患群14±4→10±4mm,P<0.01)が縮小し,左房径(非心疾患群27±5→33±6mm,心疾患群31±5→35±3mm,P<0.01)が拡大した。E波高(非心疾患群46±10→61±12㎝/s,心疾患群36±13→50±20cm/s,P<0.01)とE/A(非心疾患群0.82±0.30→1.01±0.36,心疾患群0.60±0.18→0.75±0.29,P<0.05)は増大した。両群に同様に認められた座位から臥位への計測値変化には,左室の前負荷状態の変化の関与が考えられた。心エコーを座位で行う場合には,この計測値の差異を考慮する必要はあるが、臨床的意義は高いと考えられた。今後はさらに対象患者を増やし、座位での心エコー計測値の特徴を明らかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である医療安全のための座位心エコーの計測値の妥当性を証明でき、臨床応用可能と考えられたから。
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今後の研究の推進方策 |
さらに臨床例で座位心エコーのデータを蓄積し、確固たる結論を導く。
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次年度使用額が生じた理由 |
心エコーなどの検査に必要な消耗品費と旅費が実際は少額に抑えられたため。
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