研究課題/領域番号 |
18K12110
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 拓 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00404872)
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研究分担者 |
藤井 正純 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (10335036)
岩楯 兼尚 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70566554)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | MRI |
研究実績の概要 |
MRIを用いた脳腫瘍の鑑別はこれまでの手法では限界があり、脳腫瘍の確定診断のためには生検術(手術)が必須である。生検術を行う場合にはsampling errorや手術手技による合併症を考慮する必要がある。MR Fingerprinting(MRF)は従来のMRIの撮像方法とは方法論が全く異なり、定量値を測定できる撮像技術であり、この手法を用いて新たな脳腫瘍の組織診断法の開発を目指し、さらにMRF支援下ナビゲーション併用低侵襲手術システムを確立することが本研究の目的である。 平成30年度は共同研究を行っているドイツのエッセン大学において手術を施行された症例を解析した。その結果、それぞれの症例で定量値の測定が可能であった。しかし、症例の病理組織は多岐にわたっており、本研究の目的であるMRFを用いた組織診断を可能にするためには症例の蓄積が必要であった。 さらにMRFの画像所見と術中の病理診断との整合性を得るためには手術において正確かつ安全な組織採取が可能となる方法の確立が必須であった。術中ナビゲーションシステムを使用する際には術中に施行した3TMRI画像をナビゲーションシステムにアップデートさせなければならない。我々はナビゲーションシステムのアップデートの条件設定を行い、脳腫瘍の組織採取法の精度の向上を確認している。また同時に、安全に脳腫瘍を採取するため術中モニタリングの開発も行っている。脳深部の病変を摘出する際のモニタリング法についてデータを解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は共同研究を行っているドイツのエッセン大学におけるMRF症例を解析した。それぞれの症例で定量値の測定が可能であった。しかし、症例の病理組織は多岐にわたっており、MRFにより組織診断を可能にするためには症例の積み重ねが必要であった。 さらに画像所見と術中の病理診断の整合性を高めるためには、手術においては正確かつ安全な組織採取法の確立が必要であった。そのため、我々が所有している術中3T-MRIと術中ナビゲーションを使用する際に術中のMRI画像をナビゲーションシステムにアップデートするための条件の設定を行うことが必要で、そのための時間を要した。また、安全に腫瘍を採取するため術中モニタリング法の開発も必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
定量が可能なMRFを用いて、症例群別のMRFの解析もすすめていく。脳腫瘍は多数の組織型に分類されるため、さらに症例を積み重ねていく予定である。術中の組織採取法の精度の確認と向上はこの研究において重要なポイントであるため、術中MRIと術中ナビゲーションを用いて検証していく。本研究においては腫瘍採取時の安全性を担保する術中モニタリングの確立も必須であるため、今後もデータの蓄積と解析を継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
画像撮像条件および術中MRIやナビゲーションの設定に時間を要し、予定通り計画が進んでいないため、予算の使用にも遅れが生じている。本年度は予定通り、研究を遂行し、学会発表や論文作成を進めていく計画である。
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