研究課題/領域番号 |
18K12113
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
秋元 俊成 日本工業大学, 先進工学部, 准教授 (10511462)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 非接触 / 酸素飽和度 / 計測 / レンズ / ミラー |
研究実績の概要 |
本研究は、非接触での動脈血酸素飽和度の計測を実用レベルで実現し、そのシステムの評価を行う事を目的としている。 本年度は、まず、昨年度試作したカメラレンズとフォトトランジスタを組み合わせた装置を利用し、複数人で酸素飽和度の計測実験を行った。実験では、被験者8名に対して従来の計測装置(透過型パルスオキシメーター)を装着してもらい、試作機と同時に計測を行いながら息こらえを行ってもらった。この際の、酸素飽和度の低下を記録し、透過型パルスオキシメーターによる計測結果と本装置による計測結果の比較を行った。また、実験で計測した脈波から瞬時心拍数の算出も行ったが、同時に計測したパルスオキシメータの瞬時心拍数と高い相関を得ることが出来た。 そのため,試作機によって得た脈波のピークはパルスオキシメータに近い精度で検出できていることも確認することが出来た。また、すべての被験者において、安静状態で比較的安定した環境下においては非接触でも十分に酸素飽和度の低下を検出する事が出来た。 この成果は、本年度計画していた通りの研究成果を実現する事が出来た事を示したが、より安定した計測実現に向けてコールドミラー(可視光を反射し、赤外光を透過させるミラー)を利用して、分光後の光を計測する手法の検討を始めた。 コールドミラーにより光を2つに分ける事で、センサの感度アップとノイズ低減を行う事が出来るのではないかと考えている。 今後は、より安定してより離れた場所から計測できるように、レンズの種類・構成についても検討するとともに、分光した光の計測に合わせてアナログ回路の改良を行う予定でいる.また、距離を離した際の照明の当て方についても検討を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
装置の開発は当初予定していた研究計画通りに進んでおり、開発した装置を利用した実験も計画通りの結果が残せている。本年度は、研究計画において安定環境下における複数人による評価実験を計画しており、当初の想定通りの結果を得る事が出来た。ただし、結果が出始めるのが計画より少し遅かった為学会発表の予定に変更を行った。 評価実験の結果としては、安定環境下における実験ではあるが,非接触で酸素飽和度計測の基になる数値変化を計測する事が出来たと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の2年目である令和元年度は当初の計画通りの結果を得る事が出来た。この為,今後も当初の研究計画に則して遂行していく予定である。 令和2年度は、令和元年度までに実現した計測しやすい環境の構築や安定した位置での非接触計測をより多くの環境での対応を実現するため改良を行う。特に外光の変化する環境での計測実現の為の改良を中心に行い、計測結果の検証を行う。また、計測部位による違い等も検証する。その後は、計測可能距離を伸ばすことを目的としてレンズの種類・構成を検証し、アナログ回路の改良を行う事で 下記の3点について明らかにする。 ・非接触での動脈血酸素飽和度測定の実現可能性について明らかにする。 ・測定距離の限界について理論値を含め明らかにする。 ・非接触での動脈血酸素飽和度測定において評価方法も明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究計画では、国外での学会発表についても支出を計画していたが、研究結果が出るのが少し遅くなってしまったため発表する学会等に変更が生じたことで次年度の発表に利用する計画にしたため。
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