研究課題/領域番号 |
18K12121
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
早稲田 龍一 福岡大学, 医学部, 講師 (20579651)
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研究分担者 |
森山 茂章 福岡大学, 工学部, 教授 (00299538)
齋藤 大輔 金沢大学, 医学系, 助教 (50722055)
松本 勲 金沢大学, 医学系, 准教授 (80361989)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 呼吸器外科手術 / 手術ナビゲーション / 蛍光 / 蛍光分析 / 機器開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ビタミンB2を蛍光物質として、それに特化した最適な励起・蛍光観察システムを作成し、動物実験・臨床使用で検証することであり、2018年度は呼吸器外科手術を想定した条件においてビタミンB2の蛍光に関する再評価を行い、最適な条件設定および新しいシステム(励起光発生装置・蛍光観察装置)の構築を計画していた。 まず、計画通り、現在臨床使用が可能である各種ビタミンB2製剤、すなわちフラビンアデニンジヌクレオチド製剤(2薬剤を分析、薬剤名は省略)およびリボフラビンリン酸エステル製剤(3薬剤を分析、同じく薬剤名は省略)に関して、分光光度計を使用し、励起スペクトル分析および蛍光スペクトル分析を行った。その結果、フラビンアデニンジヌクレオチド製剤の励起スペクトルは、308nm(極大)・514nmであり、蛍光スペクトルは540nm、蛍光強度(相対値)は3500、安全性・汎用性考慮し溶媒は生理食塩液とした場合の濃度設定としては20倍希釈が最適であった。また、販売されている同効薬剤間では差を認めなかった。ついで、リボフラビンリン酸エステル製剤においては、308nm・517nm(極大)であり、蛍光スペクトルは540nm、蛍光強度>10000、濃度設定としては50倍希釈が最適であった。また、本製剤においても販売されている同効薬剤間では差を認めなかった。 この結果を踏まえて、新規システムの励起光発生装置作製に移行。こちらも当初の計画通り、固定光源すなわちキセノン光源を利用した励起光システムと携帯可能な光源としてLED光源による励起光システムを作製。作製費用の面より完全な新規作成ではなく、使用可能な汎用品を利用し新規システムを試作した。ブタ摘出肺標本での検証では両者とも良好な蛍光が得られており、2019年度は計画通り、動物実験でその検証を行い、システムの修正を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にも記載したが、2018年度の研究目標は、呼吸器外科手術を想定した条件においてビタミンB2の蛍光に関する再評価を行い、最適な条件設定および新しいシステム(励起光発生装置・蛍光観察装置)の構築であった。 計画通り、使用可能なビタミンB2製剤すべてに対する蛍光分析を行い、各薬剤での最適な使用条件を評価できた。その結果を踏まえて、キセノン光源による励起光システムとLED光源による励起光システムを試作した。試作機器に関するブタ摘出肺標本での検証では、両者とも良好な蛍光が得られており、これら試作した機器で2019年度計画にある動物実験での検証を進め、機器の改良・修正を行う。蛍光観察装置に関しては、当初、簡易的バンドパスフィルターを使用した観察装置の開発も主に考えていたが、ビタミンB2蛍光の特徴である可視蛍光の強みを活かすため、特別な観察装置を使用せずに蛍光の認識ができることを第一の目標としている。ただ、蛍光観察のオプションとして簡易的なバンドパスフィルターを使用する事も想定している。
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今後の研究の推進方策 |
こちらも研究実績の概要に記載しているが、2018年度までに開発・作製したビタミンB2に特化した励起光発生装置を用いて、ブタを使用する動物実験でその検証を行う。これまで、ビタミンB2の蛍光を利用した新しい手術ナビゲーションの新規技術開発において、ブタの動物実験を繰り返し行ってきており、動物実験に関する問題はないものと考えている。 その過程で、作製した機器の改良・修正を行い、より優れたビタミンB2に特化した蛍光システムの完成を目指す。 また、新しいシステムが完成した際には、特許の申請を考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度計画におけるビタミンB2の蛍光に関する分析およびその結果に基づいて作製した蛍光励起装置に関して、現在までのところ、当初想定していた経費より少なかったため、および現状では研究成果を発表するに至っておらず、発表に伴う旅費および論文作成にともなう経費の使用がなかったため、347853円の繰り越し金額が発生した。 しかしながら、2019年度には動物実験による新規機器の検証を行い(2019年度予算を使用)、その結果に従い、今後も機器の改良や修正を複数回行う状況が想定され、より理想的な機器開発のために前述の繰越金を使用することを計画している。
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