研究代表者は多局所ERG(網膜電図)を応用することにより,背景配列上に7個の刺激配列を重ね合わせた重畳式ERGの開発を行い,20~50代の健康な数名を対象としてERGの計測を行い,a波,b波,c波,PhNR波を確認した.また,研究代表者は2019年度に米国スタンフォード大学医科大学院眼科学専攻に客員研究員として1年間留学をし,スタンフォード大学教授からERGのもう一つの方法である黄斑局所ERGを試行すべきであるいう適切なアドバイスを受けることが出来た. 黄斑局所ERGソフトウェアの改良を行い.50代の健常者を対象にERG検査を行い,a波,b波,PhNR波の確認が取れた.律動様小波(OPs)はかなり高確率で確認された.また,d波の疑いのある陽性波はときどき確認された.しかし,c波は確認されなかった.フリッカー光刺激の周波数を10~100Hzに変化させ,これらの波形の周波数応答の調査を行った.これらの研究成果は2022年5月に行われた米国視覚・眼科研究学会(The Association for Research in Vision and Ophthalmology)の国際会議のオンラインセッションにおいて,研究代表者によって発表された. また,眼底に模様のある模型眼と,振り子の原理を利用し,模型眼を左右に回転させる運動機構を製作した.これらを用いて模型眼の眼球運動計測を行った.模型眼の眼底に描かれた模様を撮影し,模型眼の眼底画像を数値計算ソフトウェアScilab6.1.0により解析し,眼球運動の変位を計算により求めた.これらの研究成果は医用生体工学及び生物工学の国際ジャーナル(International Journal of Biomedical and Biological Engineering)の2022年10月号に掲載された.
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