研究実績の概要 |
本研究は、医療技術評価学における再重要課題の一つである「イノベーション推進と安全性確保の両立」を目標に、医療機関における国際レジストリ連携(iCRN)の意義と課題について検討した。最終年度は、POC研究の実践の結果として原著論文および総説を出版した。 本研究における最大の成果は、リアル・ワールド・データ(RWD)からリアル・ワールド・エビデンス(RWE)へのパラダイム・シフトである。米国医薬食品局(FDA)によるRWEという新概念の提唱は、規制目的に応じた(Fit-for-Purpose)信頼性と妥当性を評価することで、日常業務からルーチンに収集される多様なRWD源の活用可能性を示している。 我々は、国民皆保険制度の日本における保険請求データベースをRWD源として選び、アンメット・メディカル・ニーズに対するRWE研究の原著論文として、(1) 大動脈緊急症(Kimura Y. et al. BMJ SIT, 2022)、(2) 妊娠と薬(Fujioka I. et al. J Affect Disord. 202)、(3) 腫瘍循環器学(Ohtsu H. et al. BMJ Open Heart, 2022)を、更に総説として Real-world Evidence in Cardio-Oncoogy (Ohtsh H, et al. JACC CardioOnc, 2022)、Clinical Practice Guideline in Cardio-Oncology (Sase K, et al. JACC CardioOnc, 2022)を公表した。 本研究結果から、iCRNから発展したRWD/RWE研究が、医療機関におけるアンメット・メディカル・ニーズに対し重要な視点を提供する可能性が示唆された。今後は他の疾患領域や他のRWD源への発展が期待される。
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