研究課題/領域番号 |
18K12136
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
坪子 侑佑 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (40809399)
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研究分担者 |
岩崎 清隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20339691)
松橋 祐輝 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (50754777)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 三次元ひずみ分布計測 / 断層粒子画像流速計測法 / 経カテーテル大動脈弁 / 大動脈弁輪破裂 / 伝導障害 / 非臨床試験 |
研究実績の概要 |
経カテーテル大動脈弁植込み術は、外科治療が困難な重症大動脈弁狭窄に対する低侵襲治療として広く行われてきているが、特有な合併症として弁輪部破裂がある。自己拡張型デバイスの導入により拡張時の弁輪損傷は低減した一方、持続的な拡張力による左室神経束の圧迫が原因となり永続的ペースメーカ留置を要する伝導障害が増加している。 本研究では、断層画像粒子流速計測法(トモグラフィックPIV)を応用し、弁留置に対する周辺血管の力学応答を高空間・時間解像度に定量計測でき、臨床での弁輪部破裂や刺激伝導系圧迫のリスク分析と解決に資する方法論として、経カテーテル大動脈弁を対象として弁留置時におけるモデル血管に生じる三次元ひずみ分布の測定法の開発を進めている。 2019年度においては、患者実形状モデルへの経カテーテル大動脈弁留置時の三次元ひずみ分布計測として、2018年度までに行った、弾性円筒モデルにおけるトモグラフィックPIVでのひずみ分布計測系と、患者実形状病変モデルとを統合させ、経カテーテル弁を留置可能な患者実形状モデルにおける弁周囲組織ひずみ分布の計測系の構築を達成できた。 構築した試験系において、基礎実験としてバルーン拡張型経カテーテル弁を患者実形状モデル内部で臨床における規定圧力で拡張留置した際の粒子移動量から算出したひずみ分布を解析したところ、石灰化部位周辺における不均一かつ突出したひずみ領域を確認することができた。 上記成果は、動的に変形する弾性体内部のひずみ計測として新たな計測手法の提案にもつながりうるものであり、医工学的にも極めて意義が大きいと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に基づき、患者実形状大動脈弁モデルとトモグラフィックPIVでのひずみ計測技術を統合し、経カテーテル大動脈弁を留置可能なモデル血管周囲ひずみ分布計測系を構築することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度においては、構築した患者実形状病変モデルへの経カテーテル弁留置による弁周囲組織ひずみ分布の定量評価系において、臨床で弁輪部破裂・術後伝導障害が発生した症例の粒子添加実形状モデル血管を作製し、そのトモグラフィックPIV計測を行う。病変大動脈の解剖学的性状、石灰化沈着部位と経カテーテル大動脈弁留置時のひずみ分布との関連を比較することで、弁輪部破裂や伝導障害のリスク分析を試みる。また、本年度までの成果は現在論文投稿準備中であり、2020年度に行うリスク分析の結果においても論文化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響で、2月末に予定していた出張が急遽中止となったため、予算執行計画に再調整が必要となり、一部を2020年度に消耗品費として使用する計画とした。
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