研究課題
①心拍変動解析とニューラルネットワークを用いたてんかん発作検知アルゴリズムの構築発作予測には心拍変動データが有効であったため、本年は単モダリティであるが有用性が見込まれる心拍変動に基づくアルゴリズムの構築を進めた。66名の焦点てんかん患者(男性45名、女性21名、年齢13-67歳)の長時間ビデオ脳波モニタリングデータより、44名の患者における85回の発作を含む、計約270時間分の心拍データを抽出した。約78時間分の発作間欠期データを用いてニューラルネットワークの一種である自己符号化器を学習させ、てんかん発作の事後検出を試みた。発作起始後60秒までの区間における発作検出の性能は、全患者平均で感度は77.6%、誤検出頻度は1.52回/時であった。受信者動作特性(ROC)曲線による曲線下面積(AUC)は0.92と良好であった。なお、同様の手法による、発作15分~発作起始の区間における予知結果は感度75.3%、誤検出頻度は2.49回/時であり、予知と検知を比較すると、感度は同等であるが、検知では誤検出率が低減された。②ウェアラブル心拍モニタリングシステムの開発およびてんかん患者への実装試験ソフトウェアとハードウェアを組み合わせた発作検出システムの実装試験を行うてんかん患者を対象とした結合試験については、ミツフジ性の従来型のシャツ型電極で15名、独自開発した多極シャツとアプリを組み合わせたシステムで27名分を実施した。さらに多極コネクタ搭載シャツを用いたプロトタイプ試験を患者9名において実施した。
3: やや遅れている
心拍以外のモダリティに関するデータ収集、解析について、コロナ禍の影響による多施設連携や患者実装試験の困難さから遅れており、発作の発生自体を検出するアルゴリズムは構築したが、発作型や重症度の診断機能の付加については実施できていない。
引き続きコロナ禍の影響による多施設連携や患者接触の制限が予想され、2-3年度目に予定していた研究目的の新規計測によるデータ収集や患者実装試験は困難である。診療目的のビデオ脳波モニタリングで得られる検査データの二次利用による発作検知、診断アルゴリズム構築までを中心に行っていく方針である。
コロナ禍による影響で本年度中に予定していた出張が中止、延期となったため旅費が一部未使用となった。またてんかん患者におけるデータ収集が縮小したため謝金のための予算も一部未使用となった。次年度におけるデータ収集や打ち合わせの旅費、被験者謝金等として使用を予定している。
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Epilepsy
巻: 14(1) ページ: 40-43
クリニシアン
巻: 66(5-6) ページ: 440-445