研究課題/領域番号 |
18K12142
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 健太郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70624229)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人工視覚 |
研究実績の概要 |
これまで、網膜色素変性症で失明した患者に対して、網膜、視神経や大脳に電極を埋植し、視覚を回復する人工視覚の研究が国内外で行われている。人工視覚では電気刺激により視覚を誘発させ視機能を向上させるが、人工視覚を埋植して通電した症例では、人工視覚システムを稼働させていないときの視機能が、埋植前と比べて上昇していることがよく経験される。これは、電気刺激自体に神経賦活化効果があるためである。 本研究の目的は、網膜刺激型(STS)及び視神経刺激型(AV-DONE)人工視覚による治療が、視覚障害者の原因疾患の上位を占める緑内障、網膜色素変性症、糖尿病網膜症に対して、人工視覚で使用する電気刺激を用いた新しい治療法の可能性を検討することと、治療に用いることができるより低侵襲な刺激電極の開発を行うものである。 これまでに人工視覚の有効性を確認するためのEEP(STSでは、神経節細胞から大脳皮質視覚野までの視路の評価。AV-DONEでは、視神経から大脳皮質視覚野までの視路の評価)、VEP(視細胞から大脳皮質までの視路の評価)及びERG(網膜細胞の機能評価)を用いて視機能評価系を樹立した。また、急性緑内障モデルの作成のために、高眼圧モデルを作成した。ただ、高眼圧が数日しか保てず、完全な視機能を失うまでに至らなかったために、より長時間高眼圧を維持できる系を作成すると共に、慢性の観測系を用いて視機能を経時的に評価することとした。 低侵襲な刺激電極については、直径25マイクロメートルの刺激電極で刺入しやすいタイプのものが販売されていることを確認し、現在購入に向けて交渉中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象疾患モデルで評価する際に、当初はモデル作成後の急性期の観測系での評価で十分と考えていたが、モデル作成前から大脳皮質誘発電位を測定できる慢性観測系を用いた方がより有用と考えられたために、慢性の観測系の設置を追加で行うこととなったため。
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今後の研究の推進方策 |
慢性の大脳皮質誘発電位の観測系を作成し、モデル動物の作成方法を改善したうえでモデル動物を作成して評価を行うとともに、極小電極を購入し通電実験を行い有効性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
極小電極の購入に向けての調整に時間がかかり、未だ購入に至っていないために次年度使用額が生じたが、今後大詰めの交渉を行って、極小電極を用いた通電実験を行う。
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