3Dプリンタによる製造に適した形状の生成を試みた.トポロジー最適化を行うことにより,なるべく剛性を維持しつつ,重量の軽減,通気性の改善が可能である.短下肢装具モデルのふくらはぎ部の設計領域に設定して,その体積に対して,30%,40%,50%まで減少させるトポロジー最適化を行なった.荷重条件はベルト部を前方に牽引する背屈条件と,装具の上部を後方に牽引する底屈条件とした.この最適化により生成した形状の短下肢装具を,ポリプロピレン樹脂の粉末床溶融結合方式による3Dプリンタで試作した.最適化前の重量が226[g]であったのに対して,30%形状では約20%,40%形状では約15%の軽量化が可能であった. これらの装具を装着しての歩行実験を4人の障害のない対象者に対して実施した.装具非装着時も含めて6パターンでの歩行実験を行なった.足関節は装具非装着時と比較して装具装着時は足関節角度の動きは制限されるが,装具の種類による違いは顕著では無かった.また装具の背部中央の歪は,踵接地後の立脚期初期の足関節底屈時は縮み,足底接地後の足関節背屈時は伸びる変化をした.一方,内果と外果付近に設置した歪ゲージは逆の変化をしていた.トポロジー最適化を行なった装具でも,変形量は変わらない結果となった. これらの短下肢装具を下腿に装着したときの歩行シミュレーションを,動的有限要素法解析を利用して行なった.体重と初速については,各対象者個人の実験時の値に合わせた.シミュレーショも装具非装着時,元形状,4種類の最適化形状の6パターンに対して実施した.足関節角度変化は実験結果と比較して底背屈の変化量が実験結果よりも約10[deg]大きい結果となった.装具を装着した場合は,非装着の場合と比較して背屈方向が抑制される結果となり,実験結果と同傾向となった.歪の変化量は拡大したが,傾向は実験結果と一致した.
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