目標は、血圧測定時に発生するコロトコフ音の分析にAIを援用することで、対象者に負担をかけずに手軽に使える日常健康管理指標値を提案することである。研究期間中はコロナ禍の影響で、高齢者を中心とした新しいデータ収集ができず、主に過去に採取したデータを用いて分析を行ってきた。 まず、過去10年間における波形データの修復とノイズの除去の方法を検討した。その結果、それぞれスプライン関数による補間法(修復)と、ローパスフィルタによるノイズ濾波で対応できることが明らかとなった。そこで、これを用いた処理プログラムを作成し、全データに適用し(内、5%のデータは強ノイズのため修復不可能と判断)実用に供せることを確認した。 次に、ノイズの除去これらの波形と疾病の対応表作り、すなわち、コロトコフ音がある特徴的な波形をしている場合は××症の兆候である、といった波形と疾病の対応させる作業をおこなった。その後、心疾患経験者と健常者のコロトコフ音波形を極座標で表示することにより、波形の特徴を保持した画像に変換できることを明らかにした。さらに、画像の類似度判定により対象画像間の距離を算出し、3次元座標に配置することにより、各画像位置の立体的俯瞰図を作成した。この図を利用することにより、各疾病画像との位置関係から、健康管理指標を得る可能性があることを明らかにし、将来的にAI解析を用いた健康管理指標値が可能であることを示した。
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