本研究では、1.看護師の目の代わりとなる動画によるモニタリング手法の開発、2.看護師の判断にかわる予測機能として上記センシングデータを用いた対象児の状態推定、3.看護師の手としてインフレータブル構造を応用した対象児にあわせて変形可能なクッションの開発を実施した。 1.看護師の目(モニタリング)については、動画計測および画像処理を用いたビジュアルセンシングによる対象児の状態把握、バイタル計測の可能性を探索した。この結果、対象児の体動の大きさや頻度、体の向き、頭部の動作、特徴的な動作の特定、呼吸運動を動画のみから抽出することができた。 2.看護師の判断については、上記計測した動画、画像処理により抽出した生体信号パラメータに機械学習を適用することで、睡眠―覚醒だけではなく、覚醒(77.28%)、REM睡眠(64%)、深睡眠(74%)を(カッコ内は感度、全体精度は55%)推定することができた。 3.看護師の手については、ソフトロボティクス技術のインフレータブルロボットを応用し、空気圧を用いて自在に高さを変形できるコット内に設置可能なマットを製作した。空気圧を用いて設定した周期で揺動することも可能である。なお、対象児の体型に合わせた変形をさせるために、伸縮性ひずみセンサを用いて高さを計測し、電空レギュレータと電磁弁を制御することによって調整する機構とした。空気圧制御により高さを2mmの精度で周期的に変化させることも可能となった。 以上のように、当初予定していた、3つの目的について達成することができた。
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